千葉県警本部長らを処分 ストーカー殺人

去年12月に長崎・西海市で起きたストーカー殺人事件で、千葉県警習志野署の担当者が、被害届の受理を先延ばしにして慰安旅行に行っていた問題で、被害者への対応について再調査を行っていた千葉県警は23日、結果を公表して謝罪した。また、トップの県警本部長ら21人が処分された。
この事件では、千葉県警習志野署の担当者が、被害届の受け取りを先延ばしにし、その2日後から慰安旅行に行っていたことが問題となっている。事件後、県警が行った最初の内部調査では、旅行を問題視せず、報告書でも慰安旅行について触れられていなかった。しかし、再調査の結果、県警は「捜査員らの旅行への参加が、捜査に影響を及ぼさなかったとはいえない」と責任を認め、トップの県警本部長ら21人が処分された。
千葉県警・鎌田聡本部長は「誠に申し訳ありませんでした。一連の検証で明らかになった問題点を真摯(しんし)に反省し、『警察改革』の精神が再度、徹底されるよう努力してまいる所存です」と述べ、前回の検証の不備を認め、謝罪した。
今回、再検証をまとめた岡部正勝警務部長は、旅行の事実が捜査に影響を与えた可能性があることを初めて認めた。ただし、「(県警)各幹部がそれ(旅行の事実)をことさらに伏せておくような指示や協議をしたという事実は見られず、また、隠ぺいしようとする意図は認められませんでした」とも述べている。
さらに岡部警務部長は、検証に関わった幹部らが旅行の事実を過小評価し、縦割り意識が原因で検証に不備があったことを指摘した上で、監督責任などを理由に、前習志野署長ら3人を懲戒処分にした他、18人に訓戒などの処分を行ったことを明らかにした。鎌田県警本部長が訓戒処分となった他、警察庁は千葉県警刑事部長と生活安全部長の2人を訓戒処分とするとともに、刑事部長を事実上、更迭することを明らかにした。
再検証の公表を受け、遺族の山下誠さんは「警察は切迫性を見極める洞察力がない」と批判し、本部長の意識改革や警察の組織改革を求めるコメントを出した。