サイトメガロウイルス、新生児の感染が倍に
「サイトメガロウイルス」というヘルペスの一種に、生まれながらに感染している乳児は年間約50人と、15年前に比べて2倍になっていることが日本小児感染症学会の研究班の調査でわかった。
研究班が全国約2600の医療機関を対象に調べたところ、06年から08年の3年間で、胎内でサイトメガロウイルスに感染して生まれた新生児は140人だったという。年間にすると47人程度で、前回調査(92年から93年)の約2倍に増えていた。研究班は、感染そのものが増加した、または診断技術の向上でより多く感染が判明するようになったのと両方の可能性があるが、診断がついていない例もあり、実際の感染者数はさらに多いとみている。
サイトメガロウイルスは、母乳を飲むことや、感染した子供の尿や唾液に触ることなどで大人になるまでに7割から8割の人が感染するが、ほとんど症状が出ない。一方で、胎内で感染した乳児の約2割に障害が表れるとされている。最も多いのは難聴だが、小頭症や発達の遅れの他、生まれて数年後に障害が出る例もあるという。
研究班代表の森内浩幸教授(長崎大学医学部小児科)は、感染した子供の中には、早期に薬を投与することで重症化を防止できる場合がある他、人工内耳を埋め込むなどの対応を適切な時期に行う必要があるとして、生まれた直後の全ての乳児に対し、唾液や尿の検査でウイルス感染の有無を調べるべきだと提案している。