山梨・甲斐市に国蝶・オオムラサキの群生地
国蝶(チョウ)で準絶滅危惧種に指定されているオオムラサキが、山梨・甲斐市に群生していることがわかった。
オオムラサキは1957年に国蝶に指定され、環境省は、自然環境を測定する目安になる「指標昆虫」の一つにしている。幼虫はエノキの葉を食べ、成虫はクヌギの蜜を栄養にするため、雑木林などが手入れされた里山に生息するのが特徴で、里山の減少によって数は減っていて、準絶滅危惧種に指定されている。
確認されたオオムラサキの群生地は、雑木林や農地などがある甲斐市北部で、7月上旬から推定4000匹以上のオオムラサキが飛んでいる。この大規模な群生地の発見を受け、9日には、オオムラサキの保護と研究をする「オオムラサキセンター」(山梨・北杜市)の職員5人が生息地を調査した。
オオムラサキセンター・跡部治賢館長は「ものすごい数で驚きました。過去、見たことないです。オオムラサキのユートピアです。理想的な環境なので、これだけ大発生している」と話した。
オオムラサキセンターによると、大規模なオオムラサキの群生は全国的にも貴重で、発見された場所は、雑木林など生息に必要な条件がそろっていたと分析した。生息の条件が整っているため、一匹あたりの体長も通常より大きく、羽の色も濃くなっているとしている。
跡部館長は「昭和50年代まではこうした環境が残っていた。今は世の中が変わっている。その中でこうした地域が残っているのは感動しましたし、ちょっと足を延ばして…、いや、大騒ぎせず、そっと残しておいたほうがよい」と話した。
また、この調査では、オオムラサキがコンクリートの1か所に集まり、表面を吸う習性が確認された。表面についている物質を分析し、今後の研究材料にするとしている。
オオムラサキセンターは「地元の住民と協力しながら貴重な生息地を守っていきたい」としている。