育ち過ぎた“巨大化”街路樹で歩道ボコボコに 伐採か植え替えか…各地で対策に苦慮
街路樹の根っこが育ち過ぎて歩道が盛り上がり、危ないなと感じたことはあるでしょうか。いま、各地で街路樹が育ち過ぎて巨大化し、対策に苦慮しています。
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東京・世田谷区を走る甲州街道のケヤキ並木。1964年の東京オリンピック時に整備されたもので、夏には約6.2キロの“緑のトンネル”となります。
それから60年がたったいま、電線が木の枝にかかってしまっている状態になっていました。さらに幹が車道にはみ出したものや、歩道をボコボコにしてしまうほど根が太くなったものなど、約700本あるケヤキのうち、6割ほどが育ち過ぎの状態だというのです。
歩行者(40代)
「つえをついている方とか車いすの方とか、通りにくいかなと思いますね。木の管理とか地面の管理に税金が使われるなら切ってもいいと思う」
「撤去してもよいのでは」という意見がある一方…
地元住民(30代)
「残してほしいかな。日差しよけられるとか、緑がある方が、子育てしている上ではうれしい。夏は最近、本当に暑い時期が長いので」
地元住民(80代)
「オリンピックの記念に植えたやつだし、まだ私も生きているから。切るとさみしいでしょ。あった方がいいわよ」
“地域のシンボルとしてこのままにすべき”という声も聞かれました。
巨大化で車道や歩道の妨げとなる一方、ヒートアイランド対策や火災発生時の延焼防止など重要な役割もある街路樹。植え替えや伐採、あるいは、このままで管理するなど、いろいろな対策がある中で、この街路樹をどうすべきか。
道路を管理する東京国道事務所は、1月から利用者に意見を求めるアンケートを開始しました。
国土交通省・東京国道事務所 石井宏明所長
「将来的にどういう道路空間にしていきたいか、具体的に検討していく段階につなげていきたい」
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街路樹の巨大化は各地で課題となっていて、宮崎市では観光のシンボル、ヤシの木が巨大化し、高いものでは20メートルを超えるほどに成長。高過ぎて剪定(せんてい)ができず、台風時には枝が落下する危険があることから、2017年より約800本のヤシの植え替えに乗り出しました。
しかし、1年でできる作業は15本が限界のため、完了までは60年ほどかかるといいます。
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東京オリンピックの頃、団地をつくる際に植えられた埼玉県和光市の街路樹は、約2100本あります。
和光市・都市整備部道路安全課 髙橋契将課長
「ここ(歩道の敷石)が根っこで盛り上がっている状態。下から突き上げられている状態」
――つまずく恐れもあるが、市民から「危ない」という声は?
和光市・都市整備部道路安全課 髙橋契将課長
「お叱りの声のようにきます。なんとかしろと」
それから60年が経過し、その多くが巨大化し、通行の妨げになるだけでなく、育ち過ぎた根が雨水管に入り込み、詰まらせたりするなどの被害もでています。
倒木の恐れもあることから、歩行者の安全を最優先に考え、去年9月から危険な木の伐採、間引きを開始したのです。
住民に知らせるため看板を設置するなどして告知をしていましたが、いざ工事が始まると、伐採に抵抗感を示す住民もいるといいます。
髙橋契将課長
「やはり、もったいないと考える方もいるみたいです。そんなに切らなくてもいいんじゃないの?という市民もいると思います」
また、費用がかかるため伐採を一斉に進められないなど、育ち過ぎた街路樹の管理の難しさが浮き彫りとなっています。