データ改ざん 元現場責任者語る“常態化”
横浜市の大型マンションが傾き杭(くい)のデータが改ざんされていた問題で、旭化成建材と親会社の旭化成は22日午後、記者会見を開き、過去に旭化成建材が杭打ちを行った工事は3040件で、このうち41件で今回の工事の現場管理者が関わっていたと発表した。
旭化成建材が杭打ち工事をした神奈川県横浜市の大型マンションで、少なくとも8本の杭が固い地盤に十分に届いておらず一部が傾いてしまった問題を受け、22日、旭化成建材が過去に杭打ちを請け負った全国約3000件の建物について、その種類と都道府県別の数を報告するため、国土交通省を訪れた。
私たちは、旭化成建材の仕事を請け負ったことがあると話す男性から話を聞くことができた。
杭打ちの現場責任者を担当した男性「下働きのスコップを持って働くところから現場代理人と呼ばれるところまで、いろいろなポジションの仕事をさせていただきました」
今回、横浜のマンションの工事で施工データの改ざんを行った現場責任者と同じ立場を担当したことがあるという。
■杭の一部が固い地盤まで届いていなかったことについて
男性「工期ですとか、今、工事現場全体がお金に対して非常にシビアな問題ですとか、そういうので不測の事態がなかなか許されないのが現状。ここはちょっと深くなったから杭を長いのに入れ替えというのも、なかなか難しい状況で、それでどこかの段階の判断で、旭化成建材かわからないが、どこかでOKを出したのだと思います」
■施工データの改ざん理由について
旭化成建材はデータを記録する機械の紙切れやスイッチの入れ忘れの可能性を挙げているが、これについて男性は「電流計のスイッチの入れ忘れ、あとは紙切れはやっぱり多いですね」と話す。
男性「(Qデータをとれなかったなど報告の場合は?)まず怒られて、どうしようかを考えて、データを『何とかしろ』という大人的な言い方。暗に『作れ』と、作るしか方法がない状況で『何とかしろ』と言われることはあります」
■データ転用の経験も
男性「ミス防止のために電流計を2個付けることが結構多いんです。2個付けているおかげでデータが余計にとれるんです。(そのデータを)他の現場で似通ったモノを転用することができます。あとは、記録計を何も接続しないで走らせて、マイナスドライバーで針を動かして手で書くということも実はできます。それもやったことあります」
■常態化しているデータの改ざん
男性「地震や何かあっても今まで傾いたという話は一切(ない)。というのも、こういった不正がたくさんあることは知っていたので、それでも傾かないものだと思っていましたので」「業界の問題でしょうね。どちらかというと旭化成建材は施工管理の品質において厳しい会社なので、他の会社はもっともっと(改ざんが)多いと思います」