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【解説】今後の動き、法制化は? 同性婚「認めないのは違憲」高裁で初判断

2024年3月15日 6:42
【解説】今後の動き、法制化は? 同性婚「認めないのは違憲」高裁で初判断

同性カップルが“同性婚を認めないのは憲法違反”として国を訴えた裁判で、札幌高裁が14日、高裁として初めて「違憲」との判断を示しました。この判断で法制化など、今後の動きは─

■同性婚訴訟 初の2審で「違憲」

有働由美子キャスター
「全国5か所で6件起こされている同性婚をめぐる集団訴訟。地裁では同性婚を認めない規定は『合憲』『違憲』『違憲状態』と、判断が分かれていました。

「こうした中、注目されていた初の2審判決。札幌高裁は『違憲』と判断しました。この流れはどう見たらいいでしょうか」

小栗泉・日本テレビ解説委員長
「14日の判決については『画期的な判決』と、婚姻制度に詳しい早稲田大学の棚村政行教授は評価しています」

■札幌高裁「当事者の合意あれば誰でも自由に」

小栗解説委員長
「その1つが、憲法24条1項についても『違憲』としたことです。この条文は『婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する』というふうに書かれていて、これまで全国の地裁はこの『両性』とは男女のことを指しているなどとして、この条文については憲法違反にはならない『合憲』だと判断していました」

「これを14日、札幌高裁では『男女ではなく、当事者の合意があれば誰でも自由に結婚できる』と判断したんです」

「棚村教授は『今回の判決は、国会に「待ったなしだぞ」「ただちに取り組め」というプレッシャーをかけるもの。国会・政府はこの判決を重く受け止めて、同性婚などの法制化に向けて、早急に議論・検討を進めなければならない』としています」

■同性婚の法制化は? 岸田首相は慎重な姿勢

有働キャスター
「では実際に、国会ではいま、法制化に向けて動きはあるのでしょうか?」

小栗解説委員長
「いえ、まったく具体的な動きは進んでいないのが現状です」

「そもそも永田町では、こうした多様性をめぐる法案については、LGBT理解増進、そして選択的夫婦別姓、同性婚と、難易度が上がっていくとみられていて、LGBT理解増進法がようやく去年6月に成立した段階です」

「同性婚については去年、岸田首相は国会で『家族観や価値観、そして社会が変わってしまう課題』だと、慎重な姿勢でした」

■反対意見…保守派議員の声は

有働キャスター
「同性婚を認めることに反対する人たちの理由というのは?」

小栗解説委員長
「反対する保守派の議員の中からは『憲法に「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」と書かれている』と言っています。これは14日の判決とは違って、“両性”というのを男性と女性でしか結婚できないと解釈しているものと思われます。そのほかには『子供が生まれない結婚を助長しかねない』『家族制度を崩すことにつながる』といった声も聞かれます」

「ただ、2022年の参院選当時、当選した与野党議員全体でみると5割近くが、法制化に『賛成』あるいは『どちらかといえば賛成』だと答えていたのも事実です」

「自民党の渡海政調会長は『きょう(14日)の判決を受けて、やっぱり議論は進めていかなきゃいけないんだろうと思っている』と話していました」

■廣瀬俊朗さんに聞く…当事者だけでなく自分たちも一緒に環境づくりを

有働キャスター
「これについて廣瀬さんは、どう思われますか?」

廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「僕としても、大好きなパートナーの人と結婚できないことは本当に悲しいことだと思いました。保険や病院の面会等の手続きも煩雑ですし、子供を急に学校に迎えにいかないといけないときにパートナーが大変だと聞いたこともあります。こういった環境を改善して、誰しもに開かれた社会をつくるべきですし、当事者だけじゃなく、自分たちも一緒になって、そういった環境をつくらないといけないと思いますね」

有働キャスター
「去年2月に実施したNNN・読売新聞の世論調査でも66%の人が、法律で同性婚を認めることに賛成と言っていますし、『画期的』との声があがった14日の判決をきっかけに、ぜひ家族で、そして友だちで話してみてほしいです。もし自分と考えが違っても、壁をつくるのではなく、垣根のない議論をして尊重すること。それが、いま求められている本当の多様性だと思います」

(3月14日放送『news zero』より)