同性婚を認めないのは憲法違反だとして、同性カップルが国を相手に損害賠償を求めていた裁判で、札幌高等裁判所は「違憲」の判断を示しました。今回の判決に原告側は「この国で生きていっていいんだ」と、涙ながらに今の思いを語りました。

　　　◇

同性婚を巡って、初めて高裁での判断が示されました。裁判後、原告側は…

原告　中谷衣里さん（札幌市、14日午後4時半頃）
「本当に待ち望んだ判決でした。いま振り返っても、涙が出るぐらい喜ばしい判決でした」

原告　中谷衣里さん
「ただ制度ができるということだけでなくて、同性カップルにも異性カップルと全く変わらない当然の権利が与えられて、この国で家族として、“ふうふ”として生きていっていいんだということを言ってくれる、本当に前向きな励まされる判決でした」

同性婚を認めないのは憲法違反だとして、北海道の同性カップルが国を相手に損害賠償を求めた裁判で、札幌高裁は14日、同性カップルの結婚が現行の規定で認められないのは「法の下の平等」や「婚姻の自由」に違反するなどとして、高裁としては全国で初めて違憲との判断を示しました。

原告　中谷衣里さん（札幌市、午後4時半頃）
「改めてこれまでの丸5年間、この訴訟を応援してくださったみなさま、改めて感謝をしているのと、まだこの訴訟は続くと思うので、これからも気持ちを新たに、大きな一歩を今日は踏み出せたと思って、次に向かって取り組んでいきたい」

　　　◇

同性婚を巡っては、札幌や東京、大阪など全国で6つの訴訟が起こされています。地裁の判決では、大阪地裁は「合憲」の判断をしたものの、それ以外は「違憲」、または「違憲状態」の判断が示されています。

14日午前に示された東京地裁の判断も「違憲状態」でした。さらに午後には2審としては初めての判決となる札幌高裁も「違憲」としました。

東京地裁は同性婚を認めていない規定について「自己の性自認や性的指向に即した生活を送るという重要な人格的利益を剥奪するものにほかならない」と指摘。

東京地裁の原告　河智志乃さん（14日）
「間違いなく風向きもどんどん変わっていくと思います」

東京地裁の原告　鳩貝啓美さん（14日）
「次は国が変わってほしいと思っています」

　　　◇

同性婚を法律で認めてほしい――。そこには、実生活にまつわる切実な思いがありました。

鈴江奈々キャスター
「同性婚が認められていない状況でパートナーと生活していて困ることは？」

同性パートナーと12年間生活　柳沢正和さん
「例えば私が入院した時の手術の同意や面会、例えば死別した場合の遺産に関してや保険に関しても、いまは法的な枠組みが一切ない。同性カップル向けのローンも一部の銀行でありますけど、すべての銀行、すべての地域で制度があるわけではない」

パートナーが入院した時や亡くなった時、パートナーと一緒に暮らす時など、婚姻関係が法律で認められないことで、人生の節目でも困ることがあると話します。

同性パートナーと12年間生活　柳沢正和さん
「私たちはただ単に、普通に生活をしていきたいと思っています。この社会が誰もが住みやすくなるような社会にしていけたらいいなと思っていて、ぜひお力をお借りしたいと思っています」