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求人急増・国は無償支援…いま主婦に熱視線

2016年2月10日 3:57
求人急増・国は無償支援…いま主婦に熱視線

 キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。9日は「主婦の再就職」について、日本テレビ・小栗泉解説委員が解説する。

 ■今、主婦に熱視線

 今年4月から女性活躍推進法が本格的に施行されるが、人手不足の状況も加わって、今、企業が主婦に熱い視線を向けている。総務省の調査によると、働きたいと希望しながらも働いていない女性は、2014年に15歳以上で303万人にのぼる。

 結婚・出産や夫の転勤など、さまざまな事情で退職して主婦になったが、子どもに手がかからなくなったのでもう一度仕事をしたい、パートタイムや非正規で働いてきたけれど、そろそろフルパワーで働きたい、そんな女性たちが今、再び働き始めている。

 ■大学で主婦の再就職を支援

 私たちは、日本女子大学で行われた主婦の再就職を後押しする「リカレント教育課程」の説明会を取材した。「リカレント」とは「回帰」、つまり職場への復帰を意味する言葉だ。2007年にスタートしたコースで、一年間、会計や簿記、貿易実務、英語、パソコンなど、再就職に求められるスキルを学ぶ。対象は実務経験のある大卒以上の女性。2010年からの5年間で6割の参加者が40代だという。この年代は、子どもが手をはなれたり、人生の折り返し地点にさしかかったりして、生き方を見つめ直す人が多いのだという。

 参加した40代の主婦「年金もいつから頂けるかわからないし、主人もいますけれども、この先どうなるかわからないですから、自分で稼いで、自活できるようになるっていうのが、できたらいいなと思っております」

 日本女子大学生涯学習センター・高頭麻子所長「生き方がこれでいいのかと迷っている方がとても多くて、そういう方が何をしたらいいかってことを、客観的に判断して、支援する場が必要だとつくづく感じています」

 一年間のコースの受講料は総額26万円だが、再就職のあっせんも行い、希望者の98%が仕事についているという。受講生の中には、主婦だけでなく、転職を考えている人もいるそうだ。

 ■受講料は無料…国も再就職を支援

 民間だけでなく、国も2014年度から「キャリア・リターン応援制度」を始めた。実務研修と職業紹介がセットになっていて、再就職を支援している。受講期間は最大で9か月間。受講料は無料だ。

 実はこれ、人手不足に悩む企業にとってもうれしいことなのだ。少子化によって将来的に労働人口は減る一方。企業としても、働いていなかった女性を戦力にしていかなければ生き残ることができない時代になっている。そこで今、主婦層に対する需要が高まっているのだ。

 ■時間的に合う仕事が少ない…86%

 主婦向けの就職サービス「しゅふJOBサーチ」の求人数を見てみると、2012年1月から約4年間で13.5倍にまで増えている。また、主婦の応募数も2012年からの約4年間で、7.7倍に増加している。

 こうした現象について、「しゅふJOB総研」所長の川上敬太郎さんは、「今の主婦は働いた経験がある人が多く、パソコンやインターネットも使っているので戦力になりやすい。主婦の側もネットで求人を検索できるため、ハローワークなどに出向く必要がなく、応募しやすくなった」と話している。

 そんな中、主婦が働く上で妨げになるものを聞いてみると、

(1)時間的に合う仕事が少ない…86.0%
(2)職場の理解がない…83.7%
(3)家庭の理解がない…82.0%
(4)保育所に入れない…72.2%

 …などとなっていて、企業の側も、例えば午後4時~5時頃に終われるよう業務を設計して求人することが求められている。

 長いブランクがある場合でも、川上さんによれば、3年程度までは気にしない企業もあるようだ。それ以上のブランクがある人でも、職場復帰を念頭に、政治や経済のニュースにもアンテナを張り、地域やPTAの活動に積極的に取り組んでいれば、そうしたことを評価する企業も増えているという。

 ■眠れる力の活用

 きょうのポイントは、「眠れる力の活用」。主婦の中には、就職氷河期に働き始めて厳しく鍛えられた女性も少なくない。それだけに、女性の側もこれまで培った力をみがき直し、また、受け入れる側の企業も、短時間勤務で能力を生かせるような環境を整えることができれば、眠れる力の活用につながるのではないだろうか。

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