歴史と見所を紹介! 「白亜の宮殿」迎賓館
キーワードでニュースを読み解く「every.キーワード」。12日のテーマは「白亜の宮殿」。東京・赤坂にある迎賓館は、日本で最初の西洋風宮殿建築として造られた。その歴史や見所を日本テレビ・小栗泉解説委員が解説する。
■「白亜の宮殿」迎賓館の歴史
東京・赤坂にある迎賓館が、4月19日から1年を通じて公開される。そんな迎賓館の歴史や見所を紹介する。迎賓館は、1909年、明治時代に日本で最初の西洋風宮殿建築として造られた。フランスのヴェルサイユ宮殿などを参考にしたといわれている。もともと、当時皇太子だった大正天皇の東宮御所として造られた。そのため、正面玄関の上の部分には菊のご紋がある。総工費は当時のお金で約510万円。今の価値に換算すると1000億円以上。約10年の歳月を費やし、建築・装飾技術の粋を集めて造りあげた。
■現在はどんな施設?
今は外国の国王や大統領といった国賓を迎え、もてなす、その名の通り“迎賓”施設として使われ、首脳会談や晩さん会などの舞台となっている。
はじめて迎賓館で迎えられたのがアメリカ・フォード大統領。晩さん会には昭和天皇も出席した。1991年にはゴルバチョフ旧ソ連大統領、また、イギリスのダイアナ元皇太子妃も訪れたことがある。
■見所は?
迎賓館の見所はたくさんある。本館の2階、参観コースの順に解説する。まずは、晩さん会を行う大食堂で最大130人が入れる「花鳥の間」。注目は、花と鳥の絵が描かれた30枚の七宝焼。一説によれば、今の価値で1枚につき7000万円するというほど貴重なのだそうだ。
続いては、一番格式が高く、首脳会談や天皇陛下への表敬訪問が行われる「朝日の間」。朝日を背に女神が馬車を引いている天井壁画が「朝日の間」という名前の由来だ。壁には手織りの西陣織があしらわれ、金ぱくが貼られた椅子は、両陛下が国賓と懇談される際にお座りになる。
そして、東京サミットが行われた1979年、1986年、1993年いずれも全体会合に使われた「羽衣の間」。元は舞踏会のための部屋として設計された。シャンデリアは迎賓館の中で最も豪華で、バカラのガラスが使われており重さは約800キログラム。実際に舞踏会が開かれたことはこれまでないそうだが、レリーフに楽器があしらわれているのも楽しい。
■装飾の特徴
こうした迎賓館の装飾には、西洋風でありながら、あちらこちらに和のモチーフが散りばめられているという特徴がある。例えば、正面玄関の柱の上にある青い彫刻を拡大してみると、日本武将の甲冑(かっちゅう)をかたどっている。また、「朝日の間」の床のじゅうたんには、桜の模様が織り込まれている。しかし、装飾は洋と和だけではない。エジプトのスフィンクスをかたどった装飾があったり、公開はされない部屋だが、イスラムのモスクをイメージしたアーチがあるなど、中東の雰囲気も味わえる。
■通年公開のワケは
そもそも、1年を通じて公開することになった理由には“日本の歴史・文化を外国人観光客や私たち国民に楽しんでもらおう”という狙いがある。菅官房長官は「観光立国実現のためのシンボル的な意味合いがある」と話す。気になる料金や申し込みのシステムは、本館については大人が1000円、中高生が500円。内閣府ホームページからの事前申し込みと当日の受付けを合わせて1日3000人までとなっている。一方、前庭は入場無料。事前申込不要で入場自由となっている。
■歴史を楽しむ
今回のポイントは「歴史を楽しむ」。歴史や豆知識を知ってから行けばより楽しむことができる。本館の事前申し込みは、4月26日までの分は終了しているが、5月4日~8日、ゴールデンウイーク期間中については、13日から事前申し込みが始まる。