「ランドセル争奪戦」年々早まる理由とは?
人気のランドセルメーカーが、来年用のランドセルをインターネットで予約受付を始めると、アクセスが殺到し、つながらない事態になり、ネット上で話題となった。年々早まっている「ランドセル争奪戦」。その背景には何があるのか。
■アクセス殺到でHPつながらず
今月1日、「土屋鞄」では来年向けのランドセルの予約受付を開始した。しかし、ホームページには“おわび”の文字が…実は、初日に客のアクセスが集中し、ネットがつながらず、「買えない」などの声が殺到した。
土屋鞄製造所・山田広報課長によれば、その日は去年の1か月のアクセス数が、1日でまとまってきたというぐらいの数字だったという。現在、ホームページは正常に戻ったということだが、今回のようなことは初めてだという。この事態に、ネットではこんな声が―
「画面真っ白。こっちの頭も真っ白」
「もう諦めるしかないの?」
「今年はランドセル、どうした?」
実は他のメーカーでも、6月に販売を始めたところ、アクセス殺到で初日にサーバーがダウン。商品がほぼ完売したため、店舗も臨時休業になった。なぜランドセルの予約が相次いで殺到しているのだろうか。
■人気のポイントは色と機能性
6日、ランドセル売り場を拡大したばかりの「伊勢丹新宿店」。珍しいデザインや、凝った刺繍(ししゅう)のものがずらりと並ぶ。ここでは、5~6万円のランドセルが主流という。オーダーメードする商品も人気で、売れるのが早いという。中にはイタリアの革職人が手作りしたランドセルもあり、価格は約16万円だ。いま、こうした“付加価値”のついたランドセルが続々と出てきている。
過熱するランドセル市場の理由はどこにあるのか?専門店に行ってみると、定番の黒や赤以外にも水色やキャメル色など13種類のカラーがあるという。人気は、汚れにくい茶色の可愛らしいデザインのものやラベンダー色などだという。
最新のランドセルを昔のものと比べると、機能も進化している。昔よりサイズが大きくなり、教材などにあわせ、最近ではA4のファイルが入る大きさのものが主流だという。さらに、防犯ブザーをつけるフック付きもある。
■すでに半数の園児たちが購入?
来年の小学校入学までに期間があるにもかかわらず、なぜ、この時期にランドセルを買いにきたのか、あるお父さんに聞いてみると―
「周りも半数くらいが買っているので、保育園の」
同級生もすでに買い始めているという。神田屋鞄製作所の池袋ランドセル館・生方館長に、販売時期が早まっている理由を聞いてみると―
「ものによっては生産個数が決まっていますので、色によって。時期が遅いと人気色が完売になる。選択肢があるオープン後の早い時期に来て購入しようという方が多い」「確実にペースは早まっていると思います」
■でも、お金を出すのは―
色やデザインが増えたことで、自分好みのものを探そうと年々早まっているランドセル探し。付加価値とともに値段も上昇しているが、その“おサイフ”は、祖父母のようだ。
――どなた向けに買ったんですか?
「孫です。まあ、孫がかわいいのでしょうがないですよね」
調査によると、祖父母が孫へのプレゼントとしてランドセルを買う割合は、実に全体の68%に達するという(あんふぁん調べ)。
■購入のピークに“ある共通点”
ランドセルを購入するのが早まっているのは、ここ数年の流れのようだ。購入時期のピークを調べてみると―
2010~2011年は「1月」
↓
2012~2013年は「12月」
↓
2014~2015年は「8月」
↓
2016年は「ゴールデンウイーク」?
ランドセルは祖父母に買ってもらう人が多いということで、一緒に買い物に行く時期が購入のピークとなっているようだ。つまり、「年末年始」から「お盆」に早まり、そして、今年は「ゴールデンウイーク」ごろから盛り上がりをみせているということだ。