“ボランティア”で集結 高校生たちの思い
先週、さいたまスーパーアリーナで「高校生ボランティア・アワード2017」が開催され、101校の高校生たち約700人が日頃のボランティア活動を発表した。
このイベントは被災地支援などを行っている「風に立つライオン基金」の主催で、設立したのは歌手のさだまさしさんだ。
さださん「高校生同士、横のつながりを持って、この国が心だけでも一つになっていくことを、本当に心から願いたいと思います」
会場を埋め尽くしたのは、学校ごとに仕切られた100以上のブース。それぞれのブースでは、高校生たちが日頃行っているボランティアの活動内容が発表されていた。
■海外に「空飛ぶ車いす」
兵庫県神戸市立科学技術高校は、使われなくなった車いすを修理して、バングラデシュなどへ送る活動をしている。「空飛ぶ車いす研究会」という名称で、「車いす」は「海外へ送っている」という意味だ。これまで海外だけでなく、東日本大震災の被災地などを含め13年で2000台以上を送っているという。
神戸市立科学技術高校2年・横田実結さん(18)「『動けるようになって見る世界が変わった』という言葉を頂いたりとか、やりがいが感じられて、うれしい気持ちでいっぱいになりますね」
■“嫌な未来”消せる○○
岐阜県立岐阜工業高校は「光るエコ消しゴム」。化学研究部がつくったもので、光をため込んで暗い所で光る蓄光剤を使った消しゴムだ。被災地などで消しゴムを配ったり、作り方教室を開いたりしているという。
活動の原動力を聞いた。
県立岐阜工業高校3年・松原令奈さん(18)「小学校2年生とか3年生の子供たちからのアンケートで、ここに書いてあるんですけど…」
アンケートに書かれていたのは「嫌な未来を消せる消しゴムを作ってほしい」という言葉だった。
松原さん「(これを見たときに)衝撃を受けて、それからこの答えを追っているんですけど。(Q:嫌な未来は消せるの?)消す手助けになると思います。地元の岐阜とかでも、皆さんに配って使うたびに東北のことを思い出してねというコンセプトでやっているので、知るだけで意識するだけでも十分ボランティアの第一歩となると考えているので、消す要因の一つになれると思います」
■ケアという気持ち…
こうした高校生たちの活動発表に、さださんは「高校生の活動をずっと見ていたら、みんな結局ケアなんですよ。ケアっていう気持ちって、医療の心根と合致していると思うんですよ。お医者さんの出来ないことを、それを僕らがやって手をつなぎあっていけたらいいなって」と話す。
また、さださんはチャリティーコンサートも行い、その思いに賛同した歌手の小林幸子さんや、アイドルグループ「ももいろクローバーZ」などと一緒にエールを送った。
今回のコンテスト、銅賞は三重県のセントヨゼフ女子学園高校。生徒たちが決められた距離を歩くことで寄付金を募り、震災の被災地やアフリカのシエラレオネなどを支援する活動を30年以上続けている。
銀賞は、上記で紹介した神戸市立科学技術高校。
金賞は「おかやま山陽高校」。使わなくなった野球のグラブなどを集め、野球部員が手入れをして世界27か国に送る活動をしている。
■見て見ぬふりをしない
困っている人を見たら声をかける。これは当たり前のことだが、その当たり前のことができていない人が多い。
参加していた高校生たちはみんな、困っている人がいたら、頑張って応援しようという心を持っている。こういった高校生たちがたくさんいることを本当にうれしく思う。
私たちも見て見ぬふりをせず、高校生たちを見習って、小さなことでもいい、一つ一つできることから始めていけば、もっともっと温かな世界になっていくのではないかと思う。