東京23区で初…品川区・中学の制服無償化なぜできる? 他の自治体に広がるきっかけに…【#みんなのギモン】
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今回の#みんなのギモンでは「品川区 制服無償化なぜできる?」をテーマに解説します。
「きょうのギモンはこちら『品川区 制服無償化なぜできる?』。東京の品川区が区立中学の制服を無償化することが分かりました。制服って一式揃えると結構高いですからね」
森圭介アナウンサー
「高いですよ。買える所も決まっていますしね」
加納解説委員
「それが無償化。なぜできることになったのか、見ていきたいと思います」
加納解説委員
「5日、品川区が発表したのは、2026年4月に入学する子、つまり今の小学5年生から区立中学校の制服を無償化するというものです。品川区によると東京23区では初めてのことだそうです」
「対象は冬服の制服上下と夏服で、ワイシャツやベルト、セーターなどは対象外です。そして『所得制限なし』なんですね」
森アナウンサー
「すごいなあ」
加納解説委員
「区内の中学校の制服の価格は、2024年度の調査では3万円~5万円ほど。ちなみに今の5年生はおよそ1900人いるということです。2026年度の当初予算案に約1億円を計上するということです」
森アナウンサー
「そこまで数多く買い替えないとはいえ(制服は)高いじゃないですか、やっぱり」
鈴江奈々アナウンサー
「新年度スタートの時に、制服以外にもかかりますからね」
森アナウンサー
「物入りだからね」
桐谷美玲キャスター
「毎日着るものだし、絶対必要なものだから、これが無償化というと助かりますよね」
森アナウンサー
「これは大きいですよね」
加納解説委員
「品川区ではすでに、2024年度から区立の小中学校の絵の具や習字道具、リコーダーなど学用品も所得制限なしで無償化しています」
「さらに、2023年4月から区立学校の給食も無償化しています。そして2025年度から、区立中学校の『修学旅行費』も所得制限なく無償化するといいます」
一同
「すごいですね」
鈴江アナウンサー
「区立に限った支援ということですよね」
加納解説委員
「金銭的な面で、制服代が3万円~5万円ほど、修学旅行は区の中学校では奈良・京都へ2泊3日で行き、1人あたり最高で7万5000円かかる」
「これをなぜ無償にできるのか?つまり、区が負担できるのか、というところが気になりますよね」
「品川区は、区の事業を見直し、無駄をカットしています。具体的には、区の施設の電子看板などデジタルサイネージを廃止したり、紙媒体の情報誌を電子化するなどした結果、約20億円削減できて、これを費用に充てるといいます」
森アナウンサー
「それはすごい」
桐谷キャスター
「20億円というとかなりの額ですが、それを削減して私たちの生活に直結するように、目に見える形で使ってくれるというのはうれしい感じがしますね」
加納解説委員
「工夫がすばらしいですね」
忽滑谷こころアナウンサー
「品川区で削減できた、この一つの例が、ほかのエリアにも取り組みが広がっていくといいですね」
加納解説委員
「ちなみに、他のいくつかの区に制服無償化について問い合わせてみました。例えば墨田区では、制服の費用は保護者負担という認識で、無償化は検討したことがないということです」
「別の区でも、やはり検討していないと。男女の違いや学校の違いで金額に差が出ることや、中学生といえば成長期で制服の買い替えが必要になることもあるので、キリがなくなってしまうことを理由にあげていました」
森アナウンサー
「何着までなら補助するとか…大変になるからということですね」
加納解説委員
「また、給食費無償化に続き、さらなる教育費の無償化をどう進めていくべきか、課題意識はある。ただ、限られた予算の中で制服無償化の優先度が高いのか悩む、という話もありました」
森アナウンサー
「品川区という前例があれば、うちの区もやってみようかなとか、あるいは東京都内に引っ越すとき品川区がいいよね、と選ぶ人が増えてくると、また流れが変わってくるかもしれないですね」
鈴江アナウンサー
「品川区が子育てしやすい地域と認識されると、流れが変わってくるかもしれませんね」
加納解説委員
「そんな中で品川区が制服無償化へ踏み切った理由に、森澤区長は『子育てが自治体・社会から応援されているというメッセージ』をあげていました」
「教育費の負担を減らし、子育てしたい環境を作れば、子どもが増えて街の活性化につながる。そうなれば税収が増えて、将来的に福祉にさける財源も増えるということなんですね」
「品川区をきっかけに、他の自治体へと広がって、社会全体で子どもを支援していく体制になってほしいということでした」
森アナウンサー
「自治体によってはお金がない、財源がないからできないというのがあるかもしれませんけど、無駄を排除して、そこに充てているというのが素晴らしい取り組みですよね」
加納解説委員
「品川区では区立中学校でかかる教育費が“ほぼ無償化”に近づくことになりますが、専門家はどう見ているのでしょうか」
加納解説委員
「教育行政学がご専門の日本大学・末冨 芳教授にお話を伺いました」
「そもそも憲法で中学校までを義務教育としているから、そこにかかる教育費も全部無償というのが理想である。なので、今こそ“国が若い世代を支援していくべき”で、その上で各自治体も小さいことでも努力すべきだと、先生はおっしゃっています」
「具体的には国語の辞書、絵の具セットなどの学用品は学校が自治体経費で買って貸し出せばいいですし、制服も自治体でデザインを統一すればコストカットにもなります。そうすれば、無償化できるのではないかと指摘されています」
森アナウンサー
「この区の公立中学校は全部同じデザインですよ、とすればいいということですね」
鈴江アナウンサー
「そうすると制服の差にもつながらないですよね」
森アナウンサー
「それいいですよね」
加納解説委員
「実際に、各教室に辞書を備え付けた、制服を統一したという自治体はあるそうです」
森アナウンサー
「やっぱりあるんだ」
鈴江アナウンサー
「自治体ごとの取り組みがまた広がっていくといいですよね」
加納解説委員
「物価高が家計を直撃する中で、子育て世帯は教育費を捻出するのに苦労しています。その親の姿に心を痛めている子どももたくさんいます。未来を担う子どもたちが笑顔で過ごせるように、社会全体で支援していくことが求められています」
森アナウンサー
「なかなか前例がないことだと、発想が選択肢として生まれないかもしれませんけど、こういう例が1例あることで、うちの区や市でもできるのではと、広がりのきっかけになるといいなと感じました」
鈴江アナウンサー
「ここまで、社会部の加納記者に伝えてもらいました」
(2025年2月5日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
【みんなのギモン】
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