子ども学習費、15年で「1976万円」?…物価高も “悪循環”少子化どうする 専門家「まず賃上げ」、政治も無償化へ動き
文部科学省の調査で、子どもの学習費の大きさが明らかになりました。全て私立に通うと、平均額は約1976万円です。子育てにお金がかかると少子化はより進みかねず、国の成長にも関わります。安心して育てられるようにするために、何ができるのでしょうか?
藤井貴彦キャスター
「約1976万円。これは、文部科学省の調査で25日に明らかになった、子どもの学習費の総額です。幼稚園から高校までの15年間、全て私立に通った場合の平均額で、この中には学費のほかに塾や習い事の費用も含まれています」
「全て公立に通った場合でも約596万円です。背景には物価高などがあるということです」
篠原ともえさん(デザイナー/アーティスト『news zero』水曜パートナー)
「こんなにかかるんだという印象です。驚いてしまいました」
藤井キャスター
「この数字は、お子さんのいる家庭だけでなく、私たち全員に関係してくる大事な問題だといいます」
「子どもを育てるのにこれだけのお金がかかるとなると、子どもを産むのを躊躇(ちゅうちょ)してしまうというような声も聞こえてきそうですよね」
「国が公表したデータをもとに日本総研が推計したところ、今年生まれてくる子どもの数は68万5000人になる見通しで、国が統計を取り始めた1899年以降、初めて70万人を割る見込みです」
「2020年までのデータをもとに国が発表していた推計(日本の将来推計人口令和5年)では2038年に70万人を割るとされていたので、14年も早くその時が来るということになりそうです」
「少子化問題に詳しい日本総研の藤波匠さんによると、このままでは将来、若い世代が減って国そのものが成長しなくなってしまう可能性があるといいます」
「単純に少子化が進むと、社会保障費などそれぞれの負担が増え、そうなると教育にかけられる余裕も減って、少子化がますます進んでしまうという悪循環になると指摘しています」
藤井キャスター
「『子どもを安心して育てられる世の中になっていないじゃないか』と心配される方もいると思いますが、どうすればいいのでしょうか?」
小栗委員長
「藤波さんは『所得が低い世帯の収入を増やすため、企業の賃上げなどが不可欠』と話します。お金に余裕のない世帯が子どもを持つことが難しい世の中なので、子どもを安心して育てられるように、まずは賃上げをするべきだということです」
藤井キャスター
「すぐ解決する魔法のような政策はないと思いますが、国はどう対処しようとしているのでしょうか?」
小栗委員長
「当然、政治の世界でも大きなテーマとなっています」
「19日には自民・公明・維新の3党が教育無償化も含めて議論する実務者協議を始めたほか、23日には立憲・維新・国民の野党3党が、公立の小・中学校の給食費を無償化する法案を共同で提出し、来年4月からの実施を目指しています」
小栗委員長
「例えば、この給食費の無償化にかかる予算として見込まれているのは約4900億円です」
「これを国の支援策として必要な額と考えるのか、所得の高い世帯には必要のない支援だと考えるのか。払える家庭、払えない家庭でどうしたら子どもたちが格差を感じないかなど、私たちとしても考えていくことが大切なのではないでしょうか」
篠原さん
「先日中学校で取材させてもらった時に、子どもたちに将来のことについて聞いてみると、明確な夢を語っていたことがとても印象的でした。この子たちの夢をかなえるためにはどういった環境づくりをするべきか、大人として考えさせられました」
「私たちも教育を受けて今があります。少ない人数になった貴重な子どもたちに税金が使われることに関しては、私は未来へ循環するお金と捉えていきたいなと感じています」
(12月25日『news zero』より)