「103万円の壁」は政治案件に……政府与党「150万円が相場観」「いっそ国民案を丸のみ」の声も “新経済対策”原案が判明
政府の新しい経済対策には、低所得世帯への給付や成長分野への支援、強盗対策などが盛り込まれる見通しです。一方で、原案には「103万円の壁」に関する具体的な記載はなし。今後は政治案件として議論されるとみられますが、どう決着するのでしょうか?
「私たちの暮らしはどうなるのでしょうか。11月中にも政府が取りまとめる、新たな経済対策の原案が明らかになりました。いわゆる『103万円の壁』の行方も気になります」
小栗泉・日本テレビ解説委員長
「今回の原案に入っている対策からお伝えします。『物価高の克服』として、住民税非課税世帯への給付金が盛り込まれました。住民税非課税世帯とは、パート・アルバイトなら年収100万円までなど、特に物価高の影響を受けやすい人たちのことです」
「2023年の国民生活基礎調査によると、年代別では30代から50代までは10%台なのに対して、高齢になるほど割合が高くなっています。これは年金で暮らしている人が多いことも影響しています」
「今回の原案では、子育て世帯には子どもの人数に応じて給付金を加算するという方針が記されていますが、具体的な金額は分からず、困窮している現役世代をどのくらい支えられるかが課題となります」
小栗委員長
「ほかの分野では、AI・半導体分野に10兆円以上を支援する枠組みを作ることや、防災対策としてキッチンカーやトイレカーなどを活用した避難所の改善に取り組むといいます」
「そして、ますます深刻になっている闇バイトによる強盗対策として、防犯カメラなどデジタル技術を活用した防犯力の強化を支援するということです」
藤井キャスター
「103万円の壁への対策はどうなっているのでしょうか?」
小栗委員長
「判明した原案には、103万円の壁の見直しや、電気・ガス料金の引き下げなどについては具体的に記載されませんでした」
「これに対し『なぜ入らなかったのか』という疑問の声も聞かれますが、決して『やらない』という意味ではなく、むしろ政治案件だといいます」
「つまり、これから自民・公明の与党と、国民民主などの野党とが年末に向けて議論するため、その結論を待って対策を具体化していくということのようです」
藤井キャスター
「その103万円の壁の議論は12日から本格化していますが、この後どうなりそうなのでしょうか?」
小栗委員長
「103万円の壁を見直すこと自体は、与野党ともに異論はなさそうです。主な問題は、新たな壁をいくらに設定するのかです。国民民主党は178万円を公約にしていました」
「それに対し、政府与党からは配偶者特別控除が満額受け取れるラインとして『150万円が相場観で1つの選択肢』という声や、『いっそ国民民主の案を丸のみして、財源問題の責任も国民民主に負ってもらおう』という声なども聞かれます」
「ただ、多くの議員が『最後は政治決着になる』という中、自民党内には『不倫問題で玉木さんも強気に出られないだろう』という声があります。また、ある閣僚経験者は『むしろ名誉挽回しようと強気に出てくる可能性もある』という見方を示しています」
「しばし様子見、というのが正直なところのようです」
藤井キャスター
「経済対策の原案について、どう見ていますか?」
長濱ねるさん(俳優・『news zero』火曜パートナー)
「私の友人に、30代になっても奨学金を返し続けている人がいて、それが経済的負担になっていると聞きました」
「これからを担う子どもたちが教育を受けたいと思った時に、その負担を残さないために、そして選択肢を狭めないためにも、教育費や子育ての支援といった分野の対策にも注目していきたいです」
(11月12日『news zero』より)