「配偶者の介護に自信ない8割」対策は?
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「配偶者の介護、自信ない」。介護福祉士兼モデルの上条百里奈さんに聞いた。
高齢者向け住宅事業を運営する会社が行った調査によると、「配偶者を介護したいか」との質問に「したい」と答えたのが、男性が84.2%、女性は65.8%だった。また、「配偶者を介護できる自信はあるか」との問いには、「自信はない」「あまりない」と答えたのが、男女共に合わせて8割を超えた。「介護をしたい」という意向はあるものの、現実的には「自信がない」という、介護への難しさがうかがえる結果となった。
――フリップをお願いします。
『一緒に買い物に行こう!』と書きました。ここで重視すべきは、男女差というよりは、男女ともに8割が自信がないと回答している点かなと思います。得体の知れないものは、不安でしょうがないわけですよね。どんな準備をすればいいのか、どんなことを学べばいいのかというのがわからないという点で、自信のなさにつながっているのかなと思います。
――子育てと似ていて、誰も教えてくれるわけでもないから、介護に関してもどうしたらいいんだろうという、その迷いから始まるわけですよね。
そうですね。ただ介護の必要のない今のうちから、介護や福祉に関わっていくということが大事なのかなと思います。特に私が今働いている事業所だと、今、高校生の女の子を受け入れていて「おじいちゃん、おばあちゃんたちと一緒に買い物に行ってきて」なんていうこともやっています。そういう事業所は全国にあると思うので、そこに遊びに行くという感覚から、『一緒に買い物に行こう!』という言葉を選んでみました。
買い物で学べることはたくさんあります。例えば、ホウレンソウを買いたいと思った時に、「こっちのほうがおいしいのよ」と、ホウレンソウを選ぶアドバイスをくれたりとか、認知症だから何でもわからないのではなくて、わかることもたくさんあるんだという学びが得られたりとかもあるんです。
――その辺りの私たちの先入観から、苦手意識を持ってしまっているわけなんですね。
そうですね。認知症をある先入観で見ていたけれども、実は、この人も同じ人間なんだという学びや経験があるとすごくいいと思います。
――実際に学べるイベントもあるようですね。
「RUN伴(ランとも)」という年長の方と一緒に走るマラソンイベントのようなものが各地にあるので、そういうものに参加していくのもいいかと思います。
■上条百里奈さんプロフィル
介護福祉士として介護の現場で働きながら、モデルとしても活躍。テレビや講演などを通じて、介護の魅力や問題を発信している。中学2年生の職業体験で介護を体験したことをきっかけに、ボランティア活動を開始。高校・大学と介護を学んで、介護福祉士の資格をとり、老人保健施設に就職。その後、ファッション誌をきっかけにモデルとしても活動をはじめる。現在は、介護ドラマの監修や指導を手がけるなど、幅広い分野で介護職の魅力を伝えている。
【the SOCIAL opinionsより】