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年末恒例「除夜の鐘」深夜ではなく…昼間に

2019年12月17日 20:18
年末恒例「除夜の鐘」深夜ではなく…昼間に

今年も残りあとわずかとなったが、年末の恒例行事に“ある変化”が生じている。それは「除夜の鐘」。大みそか、深夜につくのが一般的だが、昼間に変えたところが増えているという。なぜなんだろうか。

令和最初の1年の終わりが近づいている。気づけば慌ただしい年の瀬。その締めくくりは…12月31日の大みそか、深夜0時をはさんで響く108の鐘の音。「除夜の鐘」。行く年を振り返り、新年の福を祈る日本の伝統行事だが、この「除夜の鐘」が近年、全国各地の寺から消えつつある。

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博多にある「東長寺」。その歴史は1000年以上。由緒あるこの寺では…。

東長寺役僧・江口光雅さん「去年から夕方6時から除夜の鐘をついています」

去年の大みそかを境に「除夜の鐘」の時間を夜から夕方に変更することに。とにかく忙しいという年末年始。寺で働く人が高齢化し体力的な問題もあるというが、もうひとつ別の理由が…。

東長寺役僧・江口光雅さん「近所迷惑というか騒音で」

「騒音」だという近隣の苦情だったという。実際どれほどの音が響くのか。普段もつくことがあるという昼の時間帯に1度だけ鐘をついてもらう。

every.「結構鐘の音が大きいですね。そして割と長く響いています」

さらに、改めて周囲を見回すと、道路をはさんだ目の前には商業施設やマンションなど多くの建物が並んでいる。立地の問題もあるのだろうか。近隣で話を聞くと…。

近隣で働く人「(Q毎日夕方5時に鳴っているらしいが)全く存じ上げません」「(Q迷惑という声もあるみたい)かもしれないですね。でも毎日鳴らすわけではないから」

大みそかの夜、当たり前だった「除夜の鐘」。都内にある寺でも、やはり「騒音」だというクレームが寄せられるなどしたため、「除夜の鐘」自体を5年前から中止している。

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ところが、「除夜の鐘」の時間を変更したことで、参拝者が急増したという寺もある。群馬県桐生市の「宝徳寺」。

宝徳寺・金子英宗住職「除夜ではなく、除“日”の鐘というのが正解」

4年前に時間を午前10時からに変更、「除日の鐘」とした。もともとは近隣住民が高齢化し、“真冬の夜の寒さ”を避ける気づかいから始めたという。

宝徳寺・金子英宗住職「『昼間だから参加しやすいよね』『孫と一緒に行ったよ』など。キッチンカーが出たりぐんまちゃんが参加したり、大みそかを楽しく送ることができている」

明るい昼間にイベントとして行ったことが功を奏し、参拝者は10倍以上に増加。住職自身の体力的にも…。

宝徳寺・金子英宗住職「(大みそかの夜は)かなり楽になりました。おかげさまで夜は寝られています」

ほかにも三重県にあるお寺が、鐘をつく時間を昼に変更し、やはり参拝者を増やすなど、今年の大みそかは各地で「除日の鐘」の音が響く。