プログラミング教育の問題点 どう向き合う
世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見をうかがう「opinions」。今回のテーマは「小中学生の約8割、プログラミング学びたい」。地方で子供向けのプログラミング教室を運営する、イトナブ代表の古山隆幸氏に話を聞いた。
スマートフォンの市場調査などを行うMMD研究所が「2020年1月 小中学生のプログラミング教育に関する意識調査」を実施しました。
「プログラミング教育が必要だと思うか」を聞いたところ、「必要だと思う」と回答したのは小学生が80.5%、中学生は72.8%となりました。また「プログラミングを学んでみたいか」を聞いたところ、約8割の小中学生がプログラミング教育に対して興味があると答えました(「MMD研究所×テスティー」調べ)。
「プログラミング教育」について、ネット上では
「プログラミングで論理的思考が身に付く」
「果たして学校の先生が教えられるのか?」
「保護者としては金銭面などで不安が…」
などのような意見がありました。2020年度から小学校で必修となる「プログラミング教育」ですが、この話題について古山さんのご意見をうかがいます。
――まずはフリップをお願いします。
「地域にプログラミング部」と書きました。
2020年、初等教育、小学校のプログラミング教育が始まるということは、素晴らしいことなのかなと思っております。ただ実際、先ほどの数字でもわかっているように、プログラミングを学びたいという子供たちは多いのですが、学校で行われるプログラミングの授業というのは本当に限りある時間になってしまう。そうなってくると、本当に学びたいと思っていたことを子供たちが学べるのか。また先生も大変なので、それぞれの学校で本当のプログラミング教育というものを教えられるのかな?と思います。
その中で、プログラミング部、地域の部活動という形で、パソコン部ではないプログラミングを本当にもっと学びたい子供たちが学べる環境をつくることがとても重要なのかなと思っております。
――学校で学べることと、このプログラミング部で学べることにはどういった違いが出てきますか。
基礎など学校で学べることは本当に限りあるので、より高度な技術や本当にこれからのビジネス・仕事に役立つこと、子供たちが何かを作りたいというモノ作りに興味をそそるようなものを学べるような環境がプログラミング部になるのかなと思います。
――しかも、プロフェッショナルの方が教えてくださる。
地域の大人たちが地域の子供たちに教えるという循環システムは本当に重要かなと思っております。
―民間と行政においての教育での連携は、どうしたら可能になってくるのでしょうか。
なかなか難しいところはあるとは思うのですが、今弊社の方でやらせていただいている「ナブかつLAB」という仕組みがありまして、こちらは弊社の学びのノウハウやプログラミングの教材を地域のIT企業やエンジニアに全部提供し、その学びをみんなで、地域の中で育てて、地域の子供たちを地域の大人が育てるという循環システムをこれからどんどん地方部に作っていこうとしている。そうしなければ都市部と地方部のプログラミングの学びの格差がもっともっと広がると思うので、そういった環境を整備していかなければいけないのかなと思っております。
――あとはやはり、指導の体制の話もありましたが、私も大学でプログラミングを学んだことがありますが、難しくて、正直嫌いになってしまいました。やる気がある子供たちがたくさんいる中で、どんどん好きになってもらえる環境が整うといいですよね。
そうですね。本当にこれから情報産業がもっともっと進化するので、ITなどのテクノロジーは全部の地域で使われるようになってくると思います。やっぱりそういうものをただ仕事だけではなくて、モノ作りとしてもっと楽しいんだよと教えられる環境を作るのは重要なのかなと思っております。
――そのためにはまさに地元の方との連携というのがすごく重要になってくるかもしれませんね。
地域で、みんなで、学び教えあう環境というのは重要かなと思っております。
■古山隆幸氏プロフィル
イトナブ代表。地方都市で若者たちが自由にプログラミングを学べる場を作り、若者たちが学びたいことを地域のIT会社や行政と連携して行っている。石巻で生まれた古山さんは高校卒業後上京。工業大学を出た後、プログラミングの技術で独立して会社を経営してきた。そんな中、東日本大震災が起こり地元の石巻も被災。地元のために何かできないかと考え、子供の教育に注目。子供向けのプログラミング教室をスタートした。現在では地方都市10地域に学び場を広げ、今後も各地に展開する予定。
【the SOCIAL opinionsより】