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【特集】激化する関西のスーパー業界 関東の大手スーパー『オーケー』がついに関西上陸で小売業界に激震!?『プライベートブランド』に『レジカート』『価格以外の部分で戦う』競合各社の独自戦略に迫る!

2025年2月2日 12:00
【特集】激化する関西のスーパー業界 関東の大手スーパー『オーケー』がついに関西上陸で小売業界に激震!?『プライベートブランド』に『レジカート』『価格以外の部分で戦う』競合各社の独自戦略に迫る!
大手スーパー各社の生き残り戦略

 関西は今、スーパー戦国時代。関東や九州など、ほかの地域からの進出が相次いでいます。中でも半径1㎞県内に6つのスーパーが密集する東大阪市に、首都圏地盤の『オーケー』がオープンしました。これを迎え撃つ大手スーパーも対抗策を講じています。スーパー激戦区でどう生き残るのか、各社の独自戦略に迫りました。

■関東大手スーパー『オーケー』がついに東大阪にオープン!様々な工夫で激安価格を実現!「地域に密着した存在になりたい」関西を意識した商品展開も

 東大阪に関西1店舗目としてオープンした『オーケー高井田店』には、朝から多くの客が列を作り、開店を待ち望んでいました。

 開店すると、次々と商品を手に取りカゴに入れいく来店客たち。そのワケは―。

(来店客)
「安いものが多くて、結構いいお肉が安く買えて、かなり安いです」

(来店客)
「総菜とか魚とか野菜・果物も全般的にみんな安かったです」

 『オーケー』は、いつでも安い“エブリデー・ロープライス”を掲げていて、競合店より1円でも安い価格をつける戦略をとっていますが、なぜ“激安”で販売できるのでしょうか。

 オープン1週間前、真新しい店内を、『オーケー』・二宮涼太郎代表取締役社長に案内してもらいました。

(二宮社長)
「例えば飲料は常温販売。お客様は家で冷蔵庫をお持ちの方が大半だと思うので、基本的にはこの部分は冷蔵ケース使わないでコストカットしている」

 さらには、こんな特徴も―。

(二宮社長)
「ここは、しっかり価格訴求している『練チューブ』ですけど、1つのメーカーしかない」

 値下げしにくいメーカー商品も、多く仕入れることで低価格を実現しています。メーカー希望小売価格の、約3割~5割安い価格で販売できるといいます。

 お得なのはメーカー商品だけではなく、力を入れる総菜も、そのひとつです。2024年1月、横浜市の本社では、高井田店で販売する総菜の開発会議が行われていました。

 二宮社長が関西風の『すき焼き』を試食―。

(二宮社長)
「いきなり、うどん入り」

(社員)
「関東では(うどんが入っているものは)基本ないですね。家で食べる時は締めのうどんとかやるけどね。たれが透き通っていて、意外とおいしくて…」

(二宮社長)
「おいしいですね。関西の方が食べ慣れている味で良いと思う」

 売り場では首都圏で人気の総菜のほか、すき焼きや、粉ものなど、関西らしい味付けにこだわったものも取り揃えました。舌の肥えた関西人に受け入れられるのか不安はありますが、売れ行きは、なかなか好調のようです。

(二宮社長)
「まずは、関西で出店することを決めたので、関西でたくさんお店を出して、今は関東から来たスーパーというふうに思われているが、時がたてば、『オーケー』が、どこから来たか意識しないくらい、地域に密着した存在になりたいと思う」

 『オーケー』といえば、2021年に関西進出の足がかりとして、『関西スーパー』の買収を提案しましたが、阪急阪神百貨店などを傘下にもつ『エイチ・ツー・オーリテイリング』との争奪戦の末、それはかないませんでした。それでも成長を求め、自前での出店にこぎつけたといいます。

(二宮社長)
「本当に、ここまで来たかと、楽しみでいっぱいです。『オーケー』を作るというところであれば、単独出店の方が『オーケー』らしいお店ができると思うので、それでやっていこうと思います」

Q.過去のことは気にせず?
(二宮社長)
「はい、もちろん」

 一方、『エイチ・ツー・オーリテイリング』の完全子会社になった『関西スーパー』は―。

(関西スーパー中央店・黒瀬大地店長)
「“木金市”というのがありまして、均一商品を、二桁価格でお客様にアピールしている商品が、いろんな場所に展開しています」

 『関西スーパー』行きつけならばお馴染みの“関スーの恒例販促”。月・火は全品10%オフ。木・金は特定商品を二桁価格で販売するなど、関西人の“あきんど魂”で“安さ”にこだわっています。

 さらに物価高にも関わらず、価格を変えていない商品もあるといいます。

(黒瀬店長)
「こちらも“パワープライス”と言いまして、『成田もやし』を19円で毎日販売させていただいています。お 客様からも大好評で、こちらを安くすることで、他の商品も買っていただける」

 そして、『エイチ・ツー・オーリテイリング』のグループに入ったことで、3社合同での商品開発や、3か月に1度、合同で『増量セール』なども行っていました。

(黒瀬店長)
「『関西スーパー』と『イズミヤ』と『阪急オアシス』で共同開発して作ったポテトチップスになります」

 大阪・兵庫を中心に62店舗を展開する『関西スーパー』ですが、京都や滋賀などにも出店する『阪急オアシス』や『イズミヤ』とグループ会社になることで、規模が拡大。連携やコスト削減ができつつあるといいます。

 一部の店舗では、阪急のお歳暮などが注文できるギフトカウンターも設置され、2023年度の売上高、営業利益ともに過去最高を更新しました。

(関西スーパーマーケット店舗運営本部・矢渡英祐マネジャー)
「『阪急オアシス』『イズミヤ』との共同セールや、Sポイントによる販促をすることで、多くのお客様にご来店いただき、大きなメリットがあると思います」

■『プライベートブランド』に『レジカート』各社の特色を活かした販売戦略でスーパー激戦区を勝ち残れるか 「価格の戦いではなくそれ以外の部分で戦う」

 『オーケー』が出店した東大阪は、半径1㎞圏内に6つのスーパーが密集する激戦区です。

 『オーケー高井田店』から徒歩4分、わずか200m先にある大手スーパーの『ライフ』は、2024年10月、リニューアルオープンに踏み切りました。

 生鮮食品はもちろん、単身や子育て世代が多い地域の特性に合わせ、「簡単で、すぐに食べられる」冷凍食品を強化。からあげといった定番のほか、ワンプレートを取り揃えたといいます。

 また、総菜やピザやサンドイッチなど、店内での調理にこだわり加工食品の売り場を1.3倍に広げました。さらに、2階では日用品を販売し、一度に様々な買い物ができるように“品揃え”で対抗する作戦です。

(ライフ高井田店・大森雅之店長)
「大きな競合もできるので、何もせずに影響を受けるよりは、やるべきことをやり戦える。価格の戦いではなくて、それ以外の部分で戦う」

 大手が火花を散らす中、他府県からも個性あるスーパーが関西に初進出し、しのぎを削っています。その一つが、2024年10月に東京から関西に初出店した、『肉のハナマサ』です。名前の通り、店内には肉がずらりと並んでいます。

(肉のハナマサ食品部・荒井康志部長)
「以前は、『肉のハナマサ』として大型パックを販売していたのですが、“肉のハナマサプラス”ということで、中サイズや小サイズの肉の種類を増やしていて、一般のお客様向けにも販売できるようになっています」

 そんな中、力を入れているのが、プライベートブランドです。年間2億個を売り上げたジューシーなハンバーグや、様々な肉のジャーキーなど、肉屋の強みを生かした商品の中には、意外なものも売られていました。

 『肉のハナマサ』の社員が考案した担々麺です。辛すぎてクレームが入ることもあるそうですが、逆にそれが人気を集めているのだとか。ほかにもグリーンカレーの本場、タイで作ったレトルトカレーなど、個性的な商品で客の心を掴んでいます。

(肉のハナマサプラス大国町店・石坂智昭店長)
「スーパーとして“肉だけじゃない”ところを皆さんに知っていただきたいというのと、ハナマサに行けば、特殊な商品も買えるというのを知っていただきたい」

 一方、2024年9月、守口市に出店した、福岡が本社の『トライアル』ですが、全国に300以上の店舗を構え、2006年、兵庫県に一号店を出店してから、関西でも拡大中です。

 IT企業から始まった『トライアル』は、“最先端の技術”が詰まった店づくりが特徴です。『レジカート』を使えば買い物中に会計ができ、店側もレジの人件費を2割削減して、安さにつなげられるといいます。

 さらに、『トライアル』の強みはほかにも…。

(スーパーセンタートライアル守口ジャガータウン店・辻川功太店長)
「プライベートブランドの商品がありまして、ティッシュ・トイレクリーナー・ウェットティッシュ・ペーパータオル、さらにフライパンなども取り扱いしております」

 食料品だけでなく、日用品などもワンフロアで販売し、自社製品を続々と開発しています。売り上げの17%は、プライベートブランドが占めているのだとか。

(来店客)
「『コーナン』と『ライフ』を引っ付けたような感じ。食料品あれば衣料品やペット用品もある。ここに来たら、全部一回で揃う。2軒回らなくてもいい。電化製品もあるでしょ?」

 さらに、2024年から小型店舗での『顔認証決済』を始めました。最初にカメラに顔を映すと、商品を読み取った後には支払いが自動で完了するといいます。

(トライアルカンパニーマーケティング部・野田大輔部長)
「買い物に来たときに煩わしいことがない。フリクションレス(手間いらず)な買い物体験をお客様に提供したい。レジカートや顔認証、アプリでの決済、そういったものを色々つなげていくことで、お客様が楽しく買い物ができ、しかもお得に買い物ができる、そういったことを提供していきたい」

 原材料費の高騰や人手不足など、逆風に直面するスーパー。安さだけでは戦えない中、『オーケー』の進出で、業界は今後どう変わっていくのでしょうか―。

(「かんさい情報ネットten.」2024年11月26日放送)

最終更新日:2025年2月2日 12:00
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