【特集】国内米価高騰のウラで海外輸出が岐路に立っていた…台湾への値上げ交渉に密着 “コメクライシス”後編 ≪新潟≫

しかし、そこで明らかになったのは国内で高騰するコメの価格が海外輸出の大きなハードルとなっている現実でした。
〈木津みずほ生産組合 坪谷利之 代表理事〉
「世界的に見ればまだまだコメの需要なんて伸びしろはあるわけでね。ただ、いまの米価だとなかなか難しいとは思いますけどね。じゃあ安ければいいのかというと安くすれば国内の専業農家ももたないわけだから……」
坪谷さんは父の徳一さんと共に規模を拡大。コメ離れが進む中海外に打って出なければ生き残れないと感じていました。その販路は台湾やアメリカ、ヨーロッパなど世界各国に及びます。
人口減少やコメ離れなどの影響でコメの需要が減っている日本。それに合わせてコメを作っていては市場はどんどん先細りしていきます。
そうした中2024年、JAの全国大会で石破総理がこんなメッセージを寄せました。
〈石破首相〉
「世界の中で、農地を減らしている、あるいは主要穀物3品の生産を 減らしている、そんな国はどこにもありません。これから先人口が減る中にあって日本の素晴らしい農産品を世界に出していくということはどうしてもやっていかねばならんことであります」
食料安全保障が叫ばれる中、十分な輸出ができるように国内の生産力を高める考えを示しました。
実際、日本のコメの輸出量は右肩上がりで増え続けています。
しかし、いま、輸出米が岐路に立たされているというのです。
2024年9月に開かれたのは、坪谷さんら県内の生産者がコメの輸出のために作った合同会社「新・新潟米ネットワーク」の会議です。
〈木津みずほ生産組合 坪谷利之 代表理事〉
「極端なコメの暴騰もあるんだけど、来年の話だけでなくて今後5年、 10年先のことも見据えて、せっかく20年かけて取り組んできた輸出を、ここで止めることなく続けていくにはどうすればいいかという話ですね」
価格の高騰が、輸出に影響を及ぼしていると言います。
国内で売った方が高く売れる……輸出用のコメが集まらなくなる恐れがありました。
若手メンバーを中心に、台湾へ、値上げ交渉に出向くことになりました。