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“感染性胃腸炎”右肩上がり……背景に「乾燥」や「寒暖差」? 「全く心当たりがない」感染経路が不明のケース、後絶たず

2025年3月6日 9:25
“感染性胃腸炎”右肩上がり……背景に「乾燥」や「寒暖差」? 「全く心当たりがない」感染経路が不明のケース、後絶たず

東京都のデータによると、感染性胃腸炎の患者報告数が今年に入って急増中です。専門家によると、ウイルスが広がりやすい環境となり、ヒトの免疫力は低下しています。感染の原因がわからないケースも相次ぐ中、基本的な予防策の徹底が求められそうです。

■ここ数年は年末年始がピーク

藤井貴彦キャスター
「ノロウイルスなどが原因の感染性胃腸炎について、東京都の1定点医療機関あたり患者報告数を示したグラフ(都感染症情報センター、2月27日発表の資料より)があります。今年に入って急激な右肩上がりで増えているのがわかります」

「心当たりがある方も多くいるかもしれませんが、なぜこれほど増えているのでしょうか?」

小栗泉・日本テレビ解説委員長
「グラフを詳しく見ていきます。感染者数は1年前、2年前を含め、ここ数年は年末年始のピークを過ぎると下がり始めていましたが、今シーズンは2月に入っても伸び続けています。最新のデータとなる2月17日週では、前年の同じ時期と比べてほぼ倍増しています」

「都内の流行の状況を表した地図(保健所別、島しょ部を除く)を見ると、1定点医療機関あたり16人以上の保健所も目立ち、感染が広がっていることがわかります」

■今シーズンの感染増加の背景は?

小栗委員長
「感染制御学が専門の、東邦大学の小林寅喆(いんてつ)教授は今回の増加の理由について、今年は乾燥して寒い時期が長引いているためウイルスが広がりやすく、寒暖差も大きいため免疫力が下がっていることが挙げられるといいます」

「しかも感染性胃腸炎の感染経路が思い当たらないというケースが後を絶ちません。実際にかかった人に取材すると、『生ものを食べたわけでもなく全く心当たりがない』『発症したら吐き気や発熱などもあり、生活がままならない』という声が聞かれました」

■医師「急に体調を崩す方が多い」

小栗委員長
「埼玉・春日部市のあゆみクリニックでは、5日も感染性胃腸炎の患者が訪れていました。クリニックの医師は『感染した原因がはっきりせず、日常生活をしている中で急に体調を崩す方が多い』としています」

■会社などのトイレで感染するケースも

藤井キャスター
「自覚がなく感染するのは恐ろしいことですが、感染性胃腸炎は食事以外からでも感染することがあるのでしょうか?」

小栗委員長
「その通りです。小林教授は『無症状であっても、体内にノロウイルスを持っている人がいれば、その人が触ったものから感染する可能性がある』と話しています」

「例えば、多くの人が利用する会社や商業施設のトイレでウイルスが手に付着して口から感染するケースや、ウイルスを持った飲食店従業員が作った料理から感染するケースもあるということです」

藤井キャスター
「もし私たちがかかってしまったら、大変なことになるとは思いますが、他の皆さんに広げないために何ができるのでしょうか?」

小栗委員長
「小林教授によると、症状が出てから1週間ほどは便からウイルスが出るので、感染者を広げないためにフタをしてトイレ(の水)を流す。また家庭内ではアルコール消毒はあまり効果がないため、薄めた漂白剤で便座などを拭くといった工夫が必要だということです」

藤井キャスター
「ウイルスを持っていても無症状のケースも多いということで、特にこの時期は日頃から手をこまめに洗うという基本的な予防策を徹底した方がよさそうです」

(3月5日『news zero』より)

最終更新日:2025年3月6日 9:25