なぜ冬場に多い?ノロウイルス アルコール消毒は“効果なし” 主な感染経路、注意すべきは…?【#みんなのギモン】
今回の#みんなのギモンでは、「ノロウイルス拡大 どこから感染?」をテーマに解説します。
岐阜市で今月20日、喫茶店で食事した高校生21人に下痢やおう吐などの症状がみられ、このうち17人と店の従業員からノロウイルスが検出されました。
また、山形・酒田市でも、食品業者が調理した弁当を食べた32人が発熱やおう吐など、ノロウイルスによる食中毒を発症しました。
まずノロウイルスの特徴についてですが、ノロウイルスによる食中毒が発生する時期は特に冬場が多く、12月から1月までが発生のピークになる傾向にあります。
実際、東京都内にある「いとう王子神谷内科外科クリニック」の伊藤院長に話を聞いたところ、多い日で1日10人ほどの患者が来ていて、通常のこの時期の1.5倍から2倍ほどだといいます。
なぜ冬場に増えるのかというと、乾燥と低温に強いからです。感染から発症までの潜伏期間は1日~2日で、腸の中でウイルスが増殖するため主な症状は吐き気、おう吐、下痢、腹痛、37℃から38℃の発熱などです。通常、これらの症状が1~2日続いた後、治るといいます。
また、特徴の一つとして、感染力が非常に強いことがあげられます。そのため大規模な食中毒になりやすく、時間がたっても感染力が衰えないのだそうです。12日以上前にノロウイルスに汚染されたカーペットを通じて感染が起きた事例もありました。
また寒さに強いという特徴もあり、気温が20℃だと1か月間、4℃だと2か月間程度、生存可能ともいわれています。
どこから感染するのかというと、食事、手指、飛まつ・空気感染が主な感染経路となっています。
1.食事
ノロウイルスに汚染された食品をよく加熱しないで食べた場合に起こりやすく、ウイルスに感染した人が調理したものを食べた場合も起こりうるということです。火を通しても、最後にそれを手で触ってしまうとリスクになるそうです。
2.手指
感染者のおう吐物や便を処理する際に手にウイルスが付着するリスクがあるそうです。また、感染者が触れたトイレのドアノブやタオルを介してうつることもあるそうで、トイレでスマホを触ったりするのも感染源にもなり得るので持ち込まない方がいいとのことです。
3.飛まつ・空気感染
感染者のおう吐物が飛散したり乾燥するなどして周囲に漂うことで、吸い込むと感染するそうです。伊藤院長は、特に最近、感染が多い理由として、乾燥する日が続いていて拭き取りきれなかった吐しゃ物などが乾いて舞い上がりやすいからと分析しています。
どう対策したらよいのでしょうか。大事なのは、手洗い・加熱・除菌だということです。手洗いは調理の前、食事の前、トイレの後は必ず行ってください。せっけんをつけてもみ洗いする、指や爪の間は意識して洗い、30秒以上、水圧を高くして流すのが大事だということです。その後、しっかり乾燥させることも大切です。
また、焼いたり煮たりなど、食品の加熱処理は有効な手段で、中心部が85℃~90℃で90秒以上が望まれるとのことです。
さらに、感染者が出たら除菌を行うようにしてください。アルコール消毒はノロウイルスに対してあまり効果がないため、ドアノブやトイレは次亜塩素酸ナトリウム、家庭用の塩素系漂白剤で除菌をしてください。
回復した後でも1か月くらいウイルスが排出されることもあるといいます。症状がなくなっても本人や家族がしっかりした対策を継続していくことが大切です。
(2025年1月28日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
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