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鳥インフル“異常事態”…1月の殺処分418万羽 卵の値段は1年で1.6倍、今後は? バイヤー「先が不安」【#みんなのギモン】

2025年1月22日 9:49
鳥インフル“異常事態”…1月の殺処分418万羽 卵の値段は1年で1.6倍、今後は? バイヤー「先が不安」【#みんなのギモン】
食卓を直撃する卵の高騰。今季は鳥インフルエンザが1月に入り急拡大し、価格への影響も心配されています。一昨年も鳥インフルが猛威を振るい、エッグショックが発生。今後の見通しをバイヤーや専門家に聞きました。消費者には冷静な対応が求められます。

そこで今回の#みんなのギモンでは、「鳥インフル異常事態 卵の値段は?」をテーマに解説します。

■農水大臣、緊急全国会議で危機感

山崎誠アナウンサー
「今年に入って、高病原性鳥インフルエンザの感染が急拡大しています。こうした中で、卵の価格の高騰も懸念されています」

「20日に行われた鳥インフルエンザの防疫対策緊急全国会議で江藤農林水産大臣は『1月だけでみますと今季はすでに23事例418万羽(が殺処分対象)と、異常な事態になっています』と指摘しました」

「さらに『これ以上の広がりを許してはいけない』と危機感を表し、都道府県の担当者や業界団体に全力で対応にあたるよう求めました」

■14道県で40例を確認、1月に急増

鈴江奈々アナウンサー
「鳥インフルエンザはシーズンごとにやってくるニュースとしてお伝えしていますが、異常な事態ということで、広がり方が早いということでしょうか」

山崎アナウンサー
「1月に入ってから、かなり(早く)広がっているということです。鳥インフルエンザの発生は、去年10月には北海道で1例目が報告されてから1月21日午前までに14道県で40例が確認されています」

「特に1月に入ってから急増し、1月だけで24例発生しているという状況です。中でも都道府県別で発生事例が多い愛知県と千葉県には、農水省が現地対策本部も設置しています」

■発生事例が多い千葉県と愛知県では

山崎アナウンサー
「千葉県は2024年の時点で食用の卵を産むニワトリの飼育数が1413万羽と全国トップです。しかし千葉県では今季8例の鳥インフルエンザが確認され、約220万羽が殺処分の対処となっています」

「愛知県では21日に新たに1例確認され、12例目となりました。愛知県では約144万羽が殺処分の対象になっているということです」

森圭介アナウンサー
「ある1つの地域で感染が拡大しているということではなく、北から南までいろんなところで広がっているということで、感染を防止するのは難しいんだなと感じますよね」

斎藤佑樹キャスター
「これだけ異常事態が起こると、影響がさまざまなところで出てきそうですよね」

■2023年春に「過去最高」350円

山崎アナウンサー
「影響の1つが、心配されている卵の価格の上昇です。JA全農たまごによると、卵の価格はもともと、去年1年間でかなり上がっています。去年1月の時点で東京Mサイズ1kgあたりの平均卸売価格は180円でしたが、12月には290円となっていました」

「その状況の中でさらに鳥インフルエンザの影響が出てきます。鳥インフルエンザの発生が過去最多となったのは2022年秋~2023年春にかけてで、その時の価格は2023年4月と5月に350円と過去最高を記録。エッグショックとも表現されました」

森アナウンサー
「この時は本当に高かったですよね」

瀧口麻衣アナウンサー
「実家の母も『高いね』と言っていたので、それくらい衝撃があったんだと思います」

鈴江アナウンサー
「値段も高かったですし、スーパーの棚から卵が消えてしまった時もありましたよね」

森圭介アナウンサー
「飲食店で卵を使うメニューがなくなっちゃったというのも、あの時期ですよね」

山崎アナウンサー
「そうでしたね。プリンなどもなかなか生産が難しいということもありました。去年12月は290円でまだ当時の水準には追いついていないということですが、この後影響が広がるかもしれないということで、街では不安の声も上がり始めています」

■1月上旬→21日で30円値上がり

山崎アナウンサー
「神奈川・横浜市のスーパー『セルシオ和田町店』にいたお客さんは「本当にすごく高いと思います。厳しい。でも使わないおうちはないでしょう」と嘆いていました」

「この店では、ミックスの卵1パックの税抜きの価格が年明けは209円、先週は219円、21日は239円でした」

食品バイヤー・久保田浩二さん
「相次いで鳥インフルエンザが出ておりまして、その影響でじわりじわりと週を追うごとに値上がりをしている状況です。またさらに(仕入れ値が)ちょっとずつ上がるという情報も入っているので、先がどうなるか不安な状況ではあります」

山崎アナウンサー
「1月の上旬から21日までに、1パック30円も上がっています」

鈴江アナウンサー
「既にじわりじわりと鳥インフルエンザの影響も価格に表れてきているんですね」

斎藤佑樹キャスター
「僕も今日卵を食べました。卵以外にも野菜も値上がりをしているじゃないですか。どちらもとなると本当に困りますよね」

■専門家に聞く…今後の見通しは?

山崎アナウンサー
「他の食材も上がっていますからね。卵の価格が上がってくると食卓にも影響が出てきます。今後の見通しを専門家に聞きました」

「鳥インフルエンザに詳しい北海道大学の迫田義博教授によると、鳥インフルエンザは渡り鳥が持ち込み、カラスなどの野鳥が広げているとみられています」

「本州では1月~2月が山場。渡り鳥は北上していくので、北海道では5月頃まで気を緩めることはできないのではないか、とのことです」

「養鶏場も既に対策をしています。私たちにも何かできることはないか聞きました。例えば散歩をしている時に野鳥が死んでいた場合、発見したら触らずに自治体に連絡してほしいということでした。そうすることで、検査や消毒などいち早く感染防止の手が打てます」

■十分な加熱や胃酸でウイルスは死滅

山崎アナウンサー
「農林水産省は、日本でこれまでに鶏肉や卵を食べて鳥インフルエンザに感染した例は報告されていないとしています。また感染が疑われる鶏の肉や卵が流通することはなく、万が一肉や卵にウイルスがあったとしても、十分な加熱や人間の胃酸で死滅するといいます」

鈴江アナウンサー
「私たちがこういった情報をしっかり知って冷静になることが大事ですし、何よりも卵を作ってくださっている養鶏場の皆さんが今ご苦労されていると思うので、これ以上広がらないように対策を進めてもらいたいですね」

山崎アナウンサー
「現場の皆さんの対応は計り知れないところがあって大変だと思います。消費者の私たちも冷静な判断をしていきたいと思っています」

(2025年1月21日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)

【みんなのギモン】

身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト

最終更新日:2025年1月22日 9:49