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【特集】未来のコメ作り 新潟県屈指300ヘクタール!大規模生産するのは建設・運送が主力の会社≪新潟≫

2025年1月31日 20:05
【特集】未来のコメ作り 新潟県屈指300ヘクタール!大規模生産するのは建設・運送が主力の会社≪新潟≫

“令和のコメ騒動”で注目されたコメ作り。高齢化などで生産者は減りつつありますが会社や団体など、組織で大規模に生産する動きが進んでいます。

新潟県内屈指の300ヘクタールで生産するのは、建設業や運送業が主力の会社。大規模で効率的なコメ作りを取材しました。

◆地域の田んぼの引き受けを続けた結果 300ヘクタールに!

揃いのツナギを着た社員が集まりました。ここは新潟県上越市にある田中産業です。会社は「建設業」と「運送業」が主力ですが朝のミーティングの内容は……

〈担当者〉
「ここから新之助をうちのカントリーの方へ運搬、刈り取り、お願いします」

向かったのは建設現場ではなく、稲刈り真っただ中の田んぼです。

30年ほど前、実家の田んぼの引き取り手を探していた社員の要望でコメ作りに参入。以来、地域の田んぼを引き受け続けています。

日本では15ヘクタール以上を大規模と位置付けている中、県内屈指の300ヘクタールに……いまではコメ作りが、建設、運送に並ぶ会社の主力事業にまで成長しました。

2024年の夏、全国を襲った令和のコメ騒動。コメの大切さを改めて感じた人も多いかもしれません。そのコメ作りの生産現場ではいま変化も起きています。

国内では高齢化や後継者不足などで、比較的小規模な個人の生産者が減っています。そうした中、法人など団体での生産は徐々に増えているのです。

◆建設・運送・農業 枠を超えたコメ作り

コメ作りの現場を仕切るのは入社38年目の津幡博司さんです。実は、10年ほど前までは10トントラックの運転手をしていました。実家が兼業農家だったこともありコメ作りの現場に配属になったといいます。

〈田中産業 営農部 津幡博司 次長〉
「私が(実家で)やったのはこんな立派な農業じゃないんで、 ほとんど手作業が主だったんで、それが嫌で田んぼ一回離れたんですけど、まさかこんな機会でまた農業始めるとは思っていませんでした」

それでも、建設や運送と農業は重機などを扱う点など共通点が多く親和性があるのだといいます。

さらに、この日、作業をしていた社員の中にはこんな人も……

〈建設の営業担当〉
「普段は営業関係の仕事をしています」
Q)何の営業ですか?
「建設業の」

別の部署からの応援です。コメ作りは普段15人ほどで担当していますが、稲刈りなどの繁忙期は他部署からの応援を受けているといいます。この日は30人で作業していました。

建設、運送、コメ作りは繁忙期がずれるため、お互いに応援を出し合いそれぞれの作業を行っています。限られた人員で仕事を回していますが「適材適所」そして「適時」の考えから業績アップにつながっているといいます。

大規模なコメ作りを学びたいと入社した社員も。実家も4ヘクタールほどの田んぼがあるといいますが……

〈入社2年目 楡井孝輔さん〉
「最初に継いじゃうと、いろんな技術もあるんで、田中産業にいればいろんな機械だったりいろんな経験させてもらえるんで、そういうところで選んだという感じです」

◆大規模で低コスト 所得もアップ

ここでは、衛星画像を使って田んぼを管理。
色の濃さで成育具合がわかるといいます。

稲刈りのタイミングも、自動で計算し、示してくれるため、初心者でも適切な栽培が可能となるのです。

〈田中産業 営農部 津幡 博司 次長〉
「今までは勘に頼っていた。いちいち自分で拾って計算したりしていたが、便利になりました。これから若い人たち、ああいうのを利用してもらえればもっと農業も反映していくんじゃないかなと思いますけど」

田んぼの面積に応じたこんなデータもあります。
60キロのコメを作るためにかかるコストは規模が大きくなるにつれ減少傾向です。
そうしたこともあり、規模が大きくなれば所得も高くなるのです。

担い手が減る中、国も大規模化を進める考えです。

〈田中産業 田中朗之 常務取締役〉
「図らずも離農する方が増えてきておりますので、一つ大規模化というのは、そういう受け皿というところでは、解決策の一つなのかなとは考えています。食料として大事なおコメですから、しっかりと安定して皆さんの所に届けられるように私たちも頑張っていきたい」

機械化で担い手不足を補いながら、主食を守る大規模生産……
今後のコメ作りとして広がっていきそうです。

最終更新日:2025年1月31日 20:05
テレビ新潟のニュース