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若者のSDGsへの意欲高まる

2020年1月30日 15:56
若者のSDGsへの意欲高まる

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見をうかがう「opinions」。今回のテーマは「若者のSDGsへの意欲高まる」。一般社団法人「グローバル教育推進プロジェクト」代表理事の辰野まどかさんに話を聞いた。

電通が2019年に行ったSDGsに関する調査によりますと、SDGsの認知度は全体で16.0%でした。前回調査と比べると、学生の認知度の高まりが大きく11.4ポイントアップして24.8%となっています。また、SDGsに積極的に取り組んでいる自治体やNPOの活動に何らかの形で参加・協力したいかとの問いに「そう思う・ややそう思う」と答えた割合が一番高かったのは学生で62%、実践意欲の高さがうかがえます。


――辰野さん、この流れをどう捉えていますか。フリップをお願いいたします。

「SDGsネイティブ」と書かせていただきました。

私は仕事柄、中高生や大学生とSDGsを通してご一緒する機会が多いんですけれども、彼らと交流していると、本当に自然にSDGsを“自分事”にしているなというのを感じるんです。

実際はもう授業でSDGsが扱われていたりとか、彼らが情報としてSDGsを知る機会はとても多いんですけれども、ただ彼らは、生まれたときから温暖化とか地球規模課題を当たり前に聞いて育っているんですね。なので、SDGsっていう言葉に対しても「ああ、そうだよね」と普通にすっと受け入れて、そして自分たちに何ができるんだろうといって行動を起こしている中高生や大学生が少なくないなっていうのを感じています。


――頭で考えるよりも体が感じて動いてるんですね。

そんなふうに、まさに彼らの感性がそうしているのかなあと思うんですけれども。


――でも一方でですね、まだ24.8%。感じていない4分3の学生たちには、どうすればいいんでしょうか。

そうですね。やはり世界を変えようとか、SDGsの貧困の問題や、飢餓の問題「すぐじゃあ解決しよう」っていっても「ええっ!」ってなってしまうと思います。そんななかで、GiFT(一般社団法人グローバル教育推進プロジェクト)ではグローバル・シチズンシッププロセスといって、まず、世界をどうにかするっていう前に自分自身をちゃんと知ろうと。それで目の前の人を知って、その志を重ね合わせた上で初めて世界に貢献・参画していこうよっていう、そういった順番でプログラムをするようにしているんです。

誰にでも、わくわくしたり、モヤモヤしたり、ドキドキする感性ってあると思うんですけれども、そういった感性としっかりとつながりながら、自分が本当の本当にどんな世界を見たくて、どんな世界を築いていきたいのかっていうところにつながれば、それはSDGsしていなくても、彼らはおのずと、自分の行動を変えて世界をよりよくしていく一員になっていくのではないかと感じています。


――そうした若者を目の前にしたときに、私たち大人ができることは何になるでしょうか。

私は本当に今、社会でこうなればいいなって思っていることがありまして、若者たちを教育する対象ではなくて、むしろそういった感性を持っている若者たちから学ぶべきだと思います。

なぜなら彼らの今の感性っていうのは将来的にはシェアリングエコノミーだったり、エシカル消費だったり、彼らの感性がマーケットを大きくしていく、そんな時代がやってくるんですね。なのでむしろ彼らから学んで、そして彼らと共に一緒により良い世界を作っていく。そんなふうに大人たちと若者たちがつながっていけたらすごくいいなというふうに思っています。


――世代間格差とかいう言葉も最近ありますけど、一緒に共同していけばいいですね。


■辰野まどかさんプロフィル
「世界をよりよくする志」であるグローバル・シチズンシップの育成に取り組んでいる。17歳での海外体験をきっかけにグローバル教育に目覚めた辰野さん。大学で世界100都市以上を訪問。アメリカの大学院に留学後、現地の教育NPOや内閣府主催の「世界青年の船」などを通じ世界各地でグローバル教育を実践。2012年に法人を設立。SDGsをテーマにした東南アジア7か国を舞台にした体験型海外研修などのプログラムを提供している。

【the SOCIAL opinionsより】