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「STEAM教育」普及の課題は

2019年11月21日 14:54
「STEAM教育」普及の課題は

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見をうかがう「opinions」。今回のテーマは「STEAM教育 普及の課題は」。「STEAM教育」の普及に取り組むBarbara Pool代表取締役の井上祐巳梨さんに話を聞いた。

子どもたちが、創造的・論理的に考え、未知の課題やその解決策を見いだす力を育むため、国もSTEAM教育の推進を図っている。
経済産業省では2018年に新しい学びの社会システムをつくるためのプロジェクト「未来の教室」をスタート。教育現場にベンチャーや学習塾のノウハウを導入するなどして実証実験を行っている。

また、文部科学省でも中央教育審議会でSTEAM教育の推進につ向けて、審議しているところだ。


――井上さん、今後、普及にむけて、どこが課題となるのでしょうか。フリップをお願いします。


「『教えられる人』を“つなぐ”」。

まさにここだと思います。まだ比較的新しい分野なので、教えられる人がいないという話が出てくるのですが、実際にはいるんですね。

それは、それぞれの企業だとか、それぞれプロフェッショナルにやられている方々、例えばエンジニアリングのプロフェッショナル、アーティストの方だとか、それぞれの方が実際に教えられるんです。そういう人と学校の公教育をきちっとつなげていくことが、普及していくうえで、すごく重要になってくると思っています。

イギリスでは、国内に約3万人のSTEAMアンバサダーという人たちがいます。実際に2500の企業が加盟して、皆さんが公教育に入って生徒たちに色々なことを教えていく取り組みというのは、盛んに行われています。日本は、そこがまだまだで、企業とのコラボレーションを一部やっているところもあるという感じですね。


――一部やっているところで、具体例はありますか。

例えば、広尾学園をはじめとするいくつかの高校生たちが集まって、AIの技術を使って現代のモーツァルトをよみがえらせる。そういうのを、実際に曲からプロモーションまで、生徒たちが行っている事例や、コラボレーションの事例はあります。


――STEAM教育が普及していくうえで、家庭においての課題は何かありますか。

やはり公教育と企業をつなげていくと同時に、家庭がすごく重要なポイントだと思います。AIを作る高校生とかが「受験に関係ないでしょう」と止められてしまうようなケースもあると聞いています。学校だけではなく、家庭でもそういった概念というか、そういうものが必要になってくると思っています。


――みんなが少しずつ意識を変えていかないといけないですね。


■井上祐巳梨さんプロフィル
経済産業省などが推進する新たな教育「STEAM」の実証事業者として、教員むけのカリキュラムの開発などを行っている。「STEAM教育」とは、科学・技術・工学・芸術・数学を横断的に学ぶ教育方法。問題を解決する力や今までにないものを創造する力を育むとして教育現場で世界的に注目されている。大学在学中から地域の町おこしイベントなどを手がけてきた井上さんは、大手広告代理店を経て独立し、地域のブランディングなどを展開してきた。0から1を生み出す楽しさを伝えることを目指している。

【the SOCIAL opinionsより】