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震災から9年 子どもたちが培う問題逆転力

2020年3月11日 15:07
震災から9年 子どもたちが培う問題逆転力

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見をうかがう「opinions」。今回のテーマは「東日本大震災から9年」。東北ユースオーケストラ事務局長の田中宏和氏に話を聞いた。

東日本大震災から今日で9年となりました。警察庁の発表によると死者は1万5899人、行方不明者は2529人となっています。また、今年は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、政府主催の東日本大震災の追悼式典は中止となりました

ネット上の意見では、

「被災者が日常生活を取り戻すことが大事」
「式は中止だが偲ぶことを忘れてはならない」
「たくさんの人が集まる式の中止は仕方ない」

などの意見がありました。東北ユースオーケストラ事務局長として被災地の子どもたちを見てきた田中さんに、お話を伺いたいと思います。


――まずはフリップをお願いします。

「問題逆転力」と書きました。

東北ユースオーケストラの子供たち、やはり震災後の原発事故の影響や津波の影響で生まれ育った家を離れざるを得なくなった団員がいます。でも、逆にそういう団員から私は元気をもらったり、勇気付けられたりしていました。

世の中、社会の求める能力ということで課題解決力がよく言われます。あとは問題を発見する、問題を提案する力などが言われますが、そこであえて私は問題逆転力としました。これは本当に辛い状況、問題が起きたときにそれをポジティブに変換していく力です。昔から「損して得取れ」とか「禍を転じて福となす」という言葉が日本にはありますが、世の中に本当に想定外のことというのは満ちあふれていると思います。そういうことをあらかじめイメージする力や機転を利かせて対応する力などを磨いていくことがこれからの時代ますます必要な気がしました。

――東北ユースオーケストラも東日本大震災がきっかけで生まれたということですよね。

先ほども申し上げましたが、本当に震災があったから生まれた人の縁、それがあったから団員同士も親戚のように仲良くなりました。また坂本龍一監督のように世界で活躍されるような音楽家の方、俳優の方と共演する機会というのは、本当に辛い3.11だったけどもむしろあの経験があったからよかったよねと思ってもらえるような、そういう経験をどうやったら作れるのかと我々運営サイドも考えています。

――公演が中止となってしまいましたが、団員の皆さんからどんな声が届いているのか教えていただけますか。

みんな悲しんでいますね。やっぱり今回特に、ホールが東京のサントリーホール、東京芸術劇場、福島市の1番大きな県文化センターというところだったので、彼らにとってみると甲子園みたいなものですね。そこにやっぱり立ちたかった。全国から集まる合唱の人と第九を演奏したかったという声ですね。あと大学4年生はもう卒業してしまうので、本当にこの機会を逃したというのは悲しいですね。

――本当に残念ですけれども、収束を願うばかりですね。

そうですね。団員もそういう意味では、大震災を乗り越えてきたということでこのウイルスもいってみれば人間の手には負えない天災みたいなものなので、きっとこれも乗り越えていい経験になっていけばと思っています。

■田中宏和氏プロフィル
東北ユースオーケストラ事務局長。広告代理店に勤めながら、東日本大震災後に被災3県を中心とした子どもたちで編成された東北ユースオーケストラの事務局長として運営に携わっている。東北ユースオーケストラは、子どもたちが優れた音楽家や指揮者などと出会うことで、さまざまな経験をする「成長の場」。子どもたちの活力が東北全体に活力を与え、新しい未来をつくりだすことを目指す。また、同姓同名の「田中宏和」さんが、一堂に会する「田中宏和運動」も展開。ギネス世界記録である164人が集まることを目標に活動している。

【the SOCIAL opinionsより】

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