都が警戒度「最高」へ 重視した3項目とは
東京都は15日、都内の感染状況について警戒レベルを最高の「レッド」に引き上げることを決めました。GoToキャンペーン開始の22日が近づく中、小池都知事は「ブレーキとアクセルを同時に踏むようなこと」と発言。いまの状況で感染対策と経済対策を同時に行うことに難色を示しました。
15日の東京都の新規感染者数は165人と発表されました。7日連続で100人を超えています。
こうした状況を受けて、東京都は警戒レベルを最高レベルに引き上げることにしました。
■2種類ある「警戒レベル」状況は?
東京都の警戒レベルとはどのようなものなのか、説明します。警戒レベルは7月になって設けられたもので、2種類あります。まず1つ目は「感染状況」です。
一番下がグリーンで、イエロー、オレンジ、レッドと4段階で警戒レベルが上がっていきます。これまでオレンジだったのが、15日、「最高」のレッドに引き上げることに決まりました。レッドは「感染が拡大している」です。オレンジは「拡大しつつある」ですから、そこから「している」に上がったということです。
■なぜ警戒レベル引き上げ?重視した3項目
では、今回どんな理由で最高レベルに引き上げたのでしょうか。15日、東京都の専門家が明らかにしました。
重視した項目は3つです。
1)新規の感染者数
3ケタ台が続き、先週と比べて約1.5倍に増加。年齢別で見ても60代以上が全体の1割、10歳未満も増加し、年齢幅が広がっています。 地域も新宿区だけでなく、豊島区、中野区など多くの区に広がり、60代以上の感染者はほぼ都内全域で発生しています。
2)救急相談センター件数
東京消防庁の救急相談センター「#7119」への相談件数が、2週連続で増加中だといいます。第1波の時は患者急増前に増加している数字で、感染拡大を早期に知るための指標の1つになっています。
3)感染経路不明な感染者
先週と比べて2倍になり、加速しています。
このままのペースで今後4週間増え続けると、約16倍に、これは感染経路不明の人だけで1日に1200人という計算になります。さらに4週間増え続けると、約256倍になるといいます。
これら3つの項目がいずれも上がっているため、最も深刻なレベルへ引き上げる判定となりました。
そして、今回は第1波とは明らかに違う点も指摘されました。第1波の流行は40~70代が中心でしたが、今回は若い世代が中心で、そして重症者が少ないという違いがあります。
■15日時点の都内の医療体制は「整っていない」
東京都の警戒レベルのもう1つが「医療提供体制」の警戒レベルです。
この最新状況も明らかになりました。同じくグリーンからレッドまでの4段階になっています。7月15日時点では上から2番目のオレンジで「体制強化が必要」という段階です。新規感染者が200人以上出た9日に引き上げられました。
そして15日の最新状況では、病床確保の目標2800床に向け医療機関に依頼していますが、いまだ整っていないことが報告されました。準備にはスタッフなども含めて約2週間程度の時間が必要だということです。
入院患者数は先週に比べて2倍に増えています。15日の実際の病床確保数が1500ほどだという報告があり、早く整える必要があるということです。
15日の専門家の分析を受けて、小池知事は次のように述べています。
「感染防止対策が取られていない飲食店の利用を避けていただきたいこと。ご高齢や基礎疾患のある方は外出の際に特に注意していただきたいこと。改めて都民の皆さんには不要不急の都外への外出をできるだけお控えいただくこと」
これまでは「体調が悪い人は」という言い方でしたが、「不要不急の都外への外出は控えて」というお願いがありました。
■小池都知事「ブレーキとアクセルを同時に踏むようなこと」
こうした状況の中、22日から本当にGoToキャンペーンを始められるのでしょうか。
小池知事は14日、「無症状の方々がお出かけになって地方の医療体制が厳しくなることも。ブレーキとアクセルを同時に踏むようなこと」だと発言しました。感染対策と経済を回すということを同時に一気にやることで、本来の効果が得られないのではと指摘しているわけです。
大阪府の吉村知事も14日、「全国的なキャンペーンは今やるべきではないと思う。小さい単位から始めて感染の様子を見ながら全国的に広げていくのがいい」と述べています。
政府は16日、専門家たちからキャンペーン開始の是非について意見を聞くということですが、自治体の長からは強い懸念が示されているのが現状です。
キャンペーン開始が22日に迫っていて、旅行を予定している人たちは困っていると思います。自分たちで判断しなければならない状況ですが、判断基準になるような方針を示してほしいという方もいると思います。
15日の東京都の会議で、専門家の方が現場を見に行ったと言っていました。 やはり社会経済活動を回しながらコロナと共存していくことが必要ですが、3密防止をより実効性のあるものにしていかないといけない、と思ったそうです。
国も東京都もガイドラインを出すだけではなく、どうすれば感染を防げるのか、手洗いのタイミングや距離の取り方など、根本的な部分を実効性のあるものにすべく、具体的な指導を行うべきだと言えます。
2020年7月15日放送 news every.「ナゼナニっ?」より