猛暑と水不足で“品質低下” お米がピンチに… お米マイスターが伝授「おいしいご飯炊くコツ」
“収穫の秋”を迎えましたが、日本の国民食、「お米」が例年にない危機に瀕しています。その原因は長すぎた猛暑です。収穫した“米の品質”が低下しているといいます。そんな今年のお米の特徴を踏まえ、家庭でもおいしく炊くコツを取材しました。
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懸念していたことが、現実となってしまいました。24日、新潟県十日町市の米農家を訪ねると、倉庫に高々と積み上げられていたのは「二等米」です。
花水農産 宮内賢一 会長
「毎年、一等米だったんだけど、今年は『二等米』」
今年とれた米の品質が、例年以上に悪かったというのです。
米の「等級」は、米粒が整っているかなど、主に“見た目”が基準となります。出荷前に「一等米」「二等米」「三等米」「規格外」の4段階に格付けされます。「一等米」は、丸みのある形がそろっているのに対し、「三等米」は粒が細長く、精米すると欠けやすいといいます。
等級が落ちた原因は、夏の異常な暑さや水不足です。暑さに弱い「コシヒカリ」が主力ということもあり、この農家では、例年80%ほどが「一等米」ですが、今年の「一等米」は3%ほどと激減しました。
「等級」は卸売り価格に直結するため、“見た目”が違うだけで、去年より700万円以上、収入が減ってしまう事態となっているのです。
花水農産 宮内賢一 会長
「うちはもう700万円くらい、今のところ違ってくる。“減収”になってますよ」
味は「一等米」と遜色がないだけに、落胆していました。
猛暑による「一等米」の減少傾向は、米どころ・新潟だけでなく、関東や愛知、京都など全国各地で起きています。
新潟県の「JA十日町」によりますと、“猛暑対策”として、今後は“暑さに強い品種”に切り替えるなど、生産者に呼びかけていきたいということです。
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品質低下の影響は、飲食店にも出ています。
群馬県産のコシヒカリを羽釜でふっくらと炊きあげ、にぎった「おにぎり」がウリという東京・文京区にある店。見た目にはあまり分かりませんが、例年より米が小粒だといいます。
おにぎりカフェ 利さく 店主 吉江重昭さん
「ちょっと粒は、今年は小さいのかなって感じですね」
さらに、米を洗う際に見つけたのは、猛暑で大量発生した虫に食われ、“黒く変色”した米粒です。
おにぎりカフェ 利さく 店主 吉江重昭さん
「こういうやつです。目で見て分かる範囲で、とっていきます」
体に害はありませんが、取り除く手間がいつもよりかかるといいます。
おにぎりカフェ 利さく 店主 吉江重昭さん
「ご飯の中に黒いのが混ざってると、『何かな』って思われる方がいらっしゃるのは間違いない」
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異変に見舞われた今年のお米ですが、家庭で炊く際の注意点はあるのでしょうか? お米マイスターに話を聞きました。
五ツ星お米マイスター「スズノブ」 西島豊造代表
「味に関しては、変わらないイメージはあるんです。ただ“炊きにくい”という現状はでてしまう」
「二等米」以下が多い今年は、「炊き方」が難しいといいます。そこで、上手に炊くコツを伝授してもらいました。
五ツ星お米マイスター「スズノブ」 西島豊造 代表
「まず、“研ぎすぎないこと”が必要。いつまでも研いでしまうと、お米にダメージを与えてしまう。短時間で、まんべんなく研げるやり方をしたほうがいい」
米が欠けやすいので、研ぎ時間は短めに。さらに、水に浸す時間も…
五ツ星お米マイスター「スズノブ」 西島豊造 代表
「(水に)長くつければつけるだけ、やわらかくなる。炊きにくくなるんですよ」
ポイントは、研ぐのも浸すのも、「短め」にすることが重要。きょうからでも試せる、ほんの少しの工夫で、今年の「新米」をよりおいしく食べられそうです。