【NNNドキュメント】非行に走り… 少年院を出た少女たちと更生保護施設長の思い NNNセレクション
貧困や虐待など様々な事情で非行に走った少女たち。少年院を仮退院しても4割近くが親元に戻れない。暴走族のリーダーという過去を持ち“札つきのワル”だった工藤さん。
福岡に更生保護施設「田川ふれ愛義塾」を設立、孤独といらだちを抱える少女たちに向き合い続ける。
「売春のあっせんだったり、薬物の密売」非行に走り、女子少年院に収容された少女たち。
少女たちは、いらだち。孤独と向き合っています。
そんな居場所のない少女たちの、受け皿になっている場所、『田川ふれ愛義塾』。
少年院や鑑別所を出た若者たちの、立ち直りを支援する更生保護施設です。
工藤さん)
「ここにおる子は、社会から見過ごされた子なんですよ。本気で社会が、大人たちが向き合っていたら、本当に半分は犯罪も起こしてないと思う」
理事長の工藤良さん、47歳。暴走族のリーダーだった工藤さんは、22歳の時に覚醒剤事件で逮捕されたのを機に、更生を決意します。
2005年に、『田川ふれ愛義塾』を設立しました。
工藤さん)
「(非行に走った若者には)社会とか大人不信っていうのが根幹にある」
ここには全国で唯一、20歳未満の少女の受け入れに特化した女子寮もあります。
入所者のセイラさん(仮名・18)
家を飛び出したのは、14歳の時。金を稼ぐために、売春や大麻の密売に手を染めたといいます。
セイラさん)
「一番は、お母さんに対しての寂しさが大きかったから」
少年院を仮退院する時、家に帰りたいと伝えましたが、母親は受け入れてくれませんでした。
セイラさん)
「今、ここで頑張っている。お母さんに、『頑張ったね』と言われるようにしたい」
少年院を出た4割近くの少女が、親元に戻れない現実があります。
セイラさんはこれまで何度も、『田川ふれ愛塾』から逃げ出してきました。
セイラさん)
「帰らんよ」
職員)
「『帰らんよ』やないって」
保護観察中の彼女たちは、少年院に戻される可能性があります。
◇
この日、広島の女子少年院を仮退院した、19歳のサキさん(仮名)がやってきました。
工藤さん)
「おっ。どう?」
サキさん)
「おいしいです」
工藤さん)
「シャバやったら、こんなにおいしいもの、いっぱい食べられるけの」
サキさんは、2歳で両親が離婚し、父方に引き取られました。
Q.家族に対する気持ちはどう思ってたの?
サキさん)
「面倒くさいでした。(父と祖母)2人とも」
ハローワークで見つけてきたのは、スーパーの総菜を工場で調理するアルバイト。
午前5時すぎ。サキさんは誰よりも早起きをし、担当の風呂掃除。朝食を10分で済ませ、仕事に向かいます。総菜を調理する一日5時間、週に4日のアルバイト。貯金の目標額は30万円。
サキさん)
「結構入ってました」
はじめての給料は、7万5859円。生活費に3万円だけ引き出し、残りは貯金します。
◇
“お母さんに認めてもらいたい”。そう話していたセイラさん。女子寮の2階の窓から飛び降り、また、逃げ出しました。
3日後、警察に保護されたセイラさん。その後、家庭裁判所の判断で、別の施設に行くことが決まりました。
少女たちの更生の道は、容易ではありません。
工藤さん)
「『よし頑張れ』って思いたいのはあるんやけど。ここからが勝負なんで。あしたが分からないんですよ」
◇
まもなく、保護観察期間が終了するサキさん。『田川ふれ愛義塾』からの卒業が近づいていました。
Q.どういう職場だった?
サキさん)
「すごく、みんな親切でした」
5か月間、無遅刻・無欠勤。目標に近い29万円を貯めることができました。満面の笑みで工藤さんのもとに。
サキさん)
「(職場で)もらったんです」
工藤さん)
「いい顔しとるやん!すごい、すごい」
サキさん)
「工藤さん、次の仕事も決まりました」
工藤さん)
「どういうこと?どこで?」
サキさん)
「(地元にある)会社の店舗内に、入らせてくれるって」
工藤さん)
「すごいな」
保護観察期間を終えたサキさん。父親と祖母と一緒に地元に帰ります。
工藤さん)
「『俺たちは常におる』と。『ここからお前たちが出たとしても、常に相談しにこい』と。『困った時には、サポートするから』ということを、言い続けていくしかないですよね。この人たちは本気やと思ったら、そこの隙間に、どんどんその言葉が入っていこうし。出てからも思い出すと思うんですよね。種を、小っちゃいところにみんなでまき続けるしかないんですよね。心の中にね」
2024年6月30日放送 NNNドキュメント’24『孤独といらだち 少女たちの更生保護』をダイジェスト版にしました。
少女たちは、いらだち。孤独と向き合っています。
そんな居場所のない少女たちの、受け皿になっている場所、『田川ふれ愛義塾』。
少年院や鑑別所を出た若者たちの、立ち直りを支援する更生保護施設です。
工藤さん)
「ここにおる子は、社会から見過ごされた子なんですよ。本気で社会が、大人たちが向き合っていたら、本当に半分は犯罪も起こしてないと思う」
理事長の工藤良さん、47歳。暴走族のリーダーだった工藤さんは、22歳の時に覚醒剤事件で逮捕されたのを機に、更生を決意します。
2005年に、『田川ふれ愛義塾』を設立しました。
工藤さん)
「(非行に走った若者には)社会とか大人不信っていうのが根幹にある」
ここには全国で唯一、20歳未満の少女の受け入れに特化した女子寮もあります。
入所者のセイラさん(仮名・18)
家を飛び出したのは、14歳の時。金を稼ぐために、売春や大麻の密売に手を染めたといいます。
セイラさん)
「一番は、お母さんに対しての寂しさが大きかったから」
少年院を仮退院する時、家に帰りたいと伝えましたが、母親は受け入れてくれませんでした。
セイラさん)
「今、ここで頑張っている。お母さんに、『頑張ったね』と言われるようにしたい」
少年院を出た4割近くの少女が、親元に戻れない現実があります。
セイラさんはこれまで何度も、『田川ふれ愛塾』から逃げ出してきました。
セイラさん)
「帰らんよ」
職員)
「『帰らんよ』やないって」
保護観察中の彼女たちは、少年院に戻される可能性があります。
◇
この日、広島の女子少年院を仮退院した、19歳のサキさん(仮名)がやってきました。
工藤さん)
「おっ。どう?」
サキさん)
「おいしいです」
工藤さん)
「シャバやったら、こんなにおいしいもの、いっぱい食べられるけの」
サキさんは、2歳で両親が離婚し、父方に引き取られました。
Q.家族に対する気持ちはどう思ってたの?
サキさん)
「面倒くさいでした。(父と祖母)2人とも」
ハローワークで見つけてきたのは、スーパーの総菜を工場で調理するアルバイト。
午前5時すぎ。サキさんは誰よりも早起きをし、担当の風呂掃除。朝食を10分で済ませ、仕事に向かいます。総菜を調理する一日5時間、週に4日のアルバイト。貯金の目標額は30万円。
サキさん)
「結構入ってました」
はじめての給料は、7万5859円。生活費に3万円だけ引き出し、残りは貯金します。
◇
“お母さんに認めてもらいたい”。そう話していたセイラさん。女子寮の2階の窓から飛び降り、また、逃げ出しました。
3日後、警察に保護されたセイラさん。その後、家庭裁判所の判断で、別の施設に行くことが決まりました。
少女たちの更生の道は、容易ではありません。
工藤さん)
「『よし頑張れ』って思いたいのはあるんやけど。ここからが勝負なんで。あしたが分からないんですよ」
◇
まもなく、保護観察期間が終了するサキさん。『田川ふれ愛義塾』からの卒業が近づいていました。
Q.どういう職場だった?
サキさん)
「すごく、みんな親切でした」
5か月間、無遅刻・無欠勤。目標に近い29万円を貯めることができました。満面の笑みで工藤さんのもとに。
サキさん)
「(職場で)もらったんです」
工藤さん)
「いい顔しとるやん!すごい、すごい」
サキさん)
「工藤さん、次の仕事も決まりました」
工藤さん)
「どういうこと?どこで?」
サキさん)
「(地元にある)会社の店舗内に、入らせてくれるって」
工藤さん)
「すごいな」
保護観察期間を終えたサキさん。父親と祖母と一緒に地元に帰ります。
工藤さん)
「『俺たちは常におる』と。『ここからお前たちが出たとしても、常に相談しにこい』と。『困った時には、サポートするから』ということを、言い続けていくしかないですよね。この人たちは本気やと思ったら、そこの隙間に、どんどんその言葉が入っていこうし。出てからも思い出すと思うんですよね。種を、小っちゃいところにみんなでまき続けるしかないんですよね。心の中にね」
2024年6月30日放送 NNNドキュメント’24『孤独といらだち 少女たちの更生保護』をダイジェスト版にしました。
最終更新日:2024年11月9日 14:01