【解説】宮城・福島で震度6強 “2分前”にも震度5弱 専門家に聞く
16日午後11時半ごろ、福島県沖を震源とした地震があり福島県と宮城県で震度6強を観測しました。大きな地震がわずか2分の間隔で発生したといいます。今後、地震は続くのでしょうか。地震のメカニズムに詳しい慶応義塾大学大学院の纐纈一起特任教授に話を聞きました。
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news every.徳島えりかキャスター
「今回の地震は16日午後11時36分に福島沖で発生しました。地震の規模を示すマグニチュードは7.4。そして震度6強を観測したのは、福島県相馬市、南相馬市、国見町、宮城県の登米市、蔵王町です。
NNNのまとめでは、福島県の相馬市で、避難中の60代男性が亡くなりました。また、宮城県では登米市と七ヶ浜町で高齢男性が合わせて2人亡くなりましたが、いずれも地震との関連は、調査中としています。これまでに福島県では17日午後3時時点で69人がケガ、宮城県では午後3時半時点で96人が病院に搬送されたということです。
そして交通網にも大きな被害が出ています。東北自動車道の下りでは、国見インターチェンジから白石インターチェンジの間に複数の亀裂が確認され、通行止めとなっていましたが、17日午後3時半、解除されました。
また、宮城県では走行中の新幹線が脱線しました。脱線したのは、東北新幹線の下り列車『やまびこ223号』で、白石蔵王駅まであと2キロほどの場所でした。
JR東日本によると、営業運転中の新幹線が脱線したのは、2004年の中越地震で脱線した上越新幹線以来、2回目です。復旧について、JR東日本は『1日2日のレベルでの復旧は難しい』と話しています。」
■今回は“プレートの内部で起きた地震”…特徴は
news every.藤井貴彦キャスター
「今回の地震の発生場所をみていきます。実は、去年の2月13日にも最大震度6強の地震が起きた場所と非常に近いところ。今回は震源の深さが57キロでした。太平洋プレートの内部で発生したということなんですが、このプレートが日本列島のほうに沈み込んでくるときに、地震が発生したものとみられますが、どういった特徴があるんでしょうか」
慶応義塾大学大学院 纐纈一起特任教授
「海の地震の発生メカニズムで、一番多いのは、プレートの上面で起きる地震が非常に多いんですけれども、今回の地震はそれよりも少し深くて、プレートの内部で起きた地震というのが一番の特徴です」
藤井
「どう違うんでしょうか」
纐纈特任教授
「揺れ方として、非常に簡単に言ってしまうと、プレートのかたいところがパチンと割れるっていうのが今回のようなタイプですので、周期の短い、揺れが速く動くような地震動が強いという特徴があります」
■東日本大震災との関連は…間接的な影響?
藤井
「今回の震源とほぼ同じ場所では、去年にも、地震が起きています。そして東日本大震災との関連も疑われるようなエリアでの、今回の震源ということになりますが、11年前の地震との関連についてはどう考えますか」
纐纈特任教授
「この地域はもともと、地震の活動が活発なところですので、おおもとはそちらの方だと思いますが、東日本大震災が起こったことによって、それが加速されて、去年も起きたし、今年も起きるというような状況になったと。間接的な影響を与えたと言っていいと思います」
■“プレートの内部で発生”新幹線の脱線に悪影響?
藤井
「東北新幹線の下り線で脱線が起きました。17両のうち16両まで脱線するということでしたけれども、プレートの内部で発生した地震だからこそ、こういった新幹線の脱線を起こすような揺れになったと考えますか?」
纐纈特任教授
「プレート内部の地震の揺れの特徴が、脱線にかなり悪い影響を与えたと思います。さらに高架橋の橋脚も非常に大きな被害を受けているようで、それだけじゃなくて、東日本大震災のような、ゆったりした揺れもそういうところには影響を与えているというふうに思います」
■去年も同じ震源地で地震…今回の地震の特徴は
藤井
「今回の震源地では、去年も地震が発生しています。今回の地震の特徴をみていきます」
徳島
「今回の地震は福島沖で発生し、震源の深さは57キロですが、実は去年2月にもこの震源とほぼ同じ場所で最大震度6強の地震が起きています。
震度6強の地震は16日午後11時36分に起きましたが、そのわずか2分前、ほぼ同じ震源で最大震度5弱の地震が起きました。
過去の大きな地震をみてみると、最大震度7を観測した2011年の東日本大震災の場合は、2日前に最大震度5弱の『前震』が、2016年の熊本地震でも、本震の2日前には震度7の『前震』が起きていて、今回は1回目と2回目までの間隔が短かったことがわかります。」
藤井
「今回、午後11時34分に最大震度5弱、午後11時36分、2分後に最大震度6弱というところで、同じ震源地で2つの地震が立て続けに起きました。これは珍しいことなんでしょうか?」
纐纈特任教授
「前震っていう現象自体は、それほど珍しくないですけども、16日夜の地震ほどの規模で、2分間程度の間隔しかなかったっていうのは珍しいんじゃないかと思います。もう1点、前震のほうのマグニチュードが6.1とかなり規模が大きいというのも特徴的だと思います」
藤井
「マグニチュード、つまり地震の規模が大きいものが2つ連続するのはどんな意味があるんでしょうか」
纐纈特任教授
「なかなか難しいんですけども、東日本大震災の間接的な影響が効いているかもしれないですね」
藤井
「つまり、地盤といいますか、プレートが割れやすい状況がまだ続いているということなんですか」
纐纈特任教授
「少なくとも、2年間に2度起きるというのは、非常に特別な状況だと思います」
■このあとも地震は続く?
藤井
「去年の2月13日にも最大震度6強、16日に関しては、わずか2分の間に2回の大きな地震が起きているということで、このあたりで震源が重なっているという状況になります。このあと地震は続くのかということが、私たちはすごく心配になるんですが、この点についてはどうでしょうか」
纐纈特任教授
「少なくとも、通常の小さめな地震が起きるというタイプは必ず起きますから、それに対して備えていただくというのが重要ですけれども、もうひとつは、日本の過去の経験からいって、『10%くらいは本震と同じくらいの揺れが起こる可能性がある』というふうに言われておりますので、そうすると大変なことになりますので、気を緩めないようにしていただきたいと思います」
藤井
「その『10%の確率で同じくらいの揺れが起きる可能性がある』ということですけども、それは、東日本大震災の揺れということか、今回の揺れということか、どちらなんでしょうか」
纐纈特任教授
「日本の過去のあらゆる地震のデータを見てみると、本震と同じくらいの揺れが1週間以内に起きているケースが全体の10%あるということです」
藤井
「このあとは、皆さん周りに落ちてくるものがないかを、ぜひ確認してほしいと思います。このあと私たちが気をつけることは、揺れた瞬間に身を守るということでしょうか?」
纐纈特任教授
「それに備えるためにですね、今の状態で、家具止めがしっかりなっているか、あれだけ揺れましたので、少し緩んでいる可能性もありますし、高いところに置いている荷物が少しずれて危なくなっているというものもチェックするのが重要だと思います」
藤井
「また、地盤なども緩んでいる可能性がありますね」
纐纈特任教授
「今年は非常に雪が多かったということで、それの影響でいろんなところで地盤が緩んでいるということがありますが、だいぶ明るくなって、時間がたっているので、おおよそのことは調べられていると思いますが、引き続き注意していただきたいと思います」