母親の“がん細胞”羊水に混じり…子どもに
子宮頸がんの母親のがん細胞が出産時に羊水に混じって、子どもの肺に入り、その後、子どもが肺がんを起こすケースがあることを、国立がん研究センターが初めて確認しました。
国立がん研究センターによりますと、今回確認されたのは2組の親子で、いずれも母親が子宮頸がんで、生まれた子どもが、肺がんを発症したということです。
出産の際、羊水に母親のがん細胞が混じり、それを子どもが生まれて初めて泣いた時に吸い込んだことで、子どもの肺にがん細胞が移ったと考えられるということです。
それぞれの親子の遺伝子を解析したところ、いずれの男児のがん細胞にも、本来はないはずの母親の遺伝子の配列が検出されたということです。
このうち1組は、母親が出産3か月後に子宮頸がんと診断され、男児は、その後、肺がんと診断されました。もう1組の母親は、妊娠中に子宮頸部にしこりがあったものの、良性ポリープと判断され流産のリスクなどを考慮し切除せずに出産。その後、子宮頸がんとわかり、男児は、数年後、肺がんと診断されました。いずれの母親も亡くなっています。
国立がん研究センターは、「子どもの肺がん患者は非常にまれだ。子宮頸がんと診断された母親が非常に心配しなくてはならないということではない」「子宮頸部を通らないので、帝王切開であれば防げたと考える」と話しています。そして、女性が子宮頸がんのワクチン接種などをして、予防することが重要だとしています。