内閣府の“啓発ポスター”回収へ 「他の作品と似ている」指摘受け… 制作担当者は「参考にして描いた」
内閣府が「若年層の性暴力被害予防月間」の一環で発表したポスターが問題になっています。契約していないイラストレーターの作品に似ているとの指摘が寄せられたいうのです。
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内閣府が発表したポスターが、実は契約していないイラストレーターの作品に似ていると問題になっています。ポスターには、「何も言ってこないから喜んでると思った」という男性と、「怖くて何も言えなかった」という女性が描かれていて、向き合う男女の言葉と表情で、性暴力被害の予防を促すものになっています。
一方、イラストレーター・たなかみさきさんのInstagramには、数々のイラストが投稿されていますが、今回のポスターと見比べて、どう思うか、街の人に聞いてみました。
「線の描き方。色の付け方、顔の形とか、結構いろいろ似ている」
「雰囲気似ている。許可を取っていれば全然問題ないと思う」
このポスターは今月、「若年層の性暴力被害予防月間」の一環で、内閣府が発表しました。“たなかみさきさんの作品と似ている”という指摘が、外部から寄せられたといいます。制作を請け負ったのは凸版印刷です。内閣府が確認したところ、担当者はたなかさんの複数の作品を参考にイラストを描いたことを認めたといいます。
内閣府
「制作過程において、たなかみさきさまの作品を参考とした事実があり、作品の類似性に関するチェックが不十分であったことを認める報告がありました」
このポスターは、自治体や学校など、すでに1万5300枚が配布されていました。内閣府はできる限り回収するとしていて、たなかさん本人には18日、直接謝罪したということです。
たなかさんは、このような投稿をしました。
たなかみさきさん(Instagramより)
「ポスターのテーマが大切だから尚のこと、広告業界は楽をしようとせず、もっとよく意図を伝えられる良いものを作れるように、沢山話し合って協力していきましょう」
「私も頑張るから! 良い作家さん沢山いるから!」
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“よく似たデザイン”問題。17日には、大阪の統合型リゾート・IRの完成イメージ図に登場する像のデザインも問題になりました。
作品の生みの親、美術家の奈良美智さんも自身のSNSに「大きな犬の自作イメージが出てくるのだが、使用を許可したこともない」と投稿。
さらに、美術家・村上隆さんの作品も無断で使っていた可能性が高いとして、大阪府と市は、他にも著作権の侵害がないか確認を進めています。