ワクチンが遅れる?原因はEU「輸出制限」
政府は2日、緊急事態宣言について、栃木県以外の10の都府県では1か月延長することを決定しました。そんな中、新型コロナワクチンの供給が遅れる可能性が浮上しました。原因は、EU(ヨーロッパ連合)のワクチンの「輸出規制」です。
■緊急事態宣言は10都府県で3月7日まで延長
東京では2日、新たに556人の感染が確認されました。都内の感染者は5日連続で1000人を下回りました。重症者は昨日よりも4人減って、129人となっています。
政府は2日、緊急事態宣言について、10の都府県は来月の7日まで延長するということを決定。2日午後1時半からは政府が緊急事態宣言について、専門家に意見を聞く諮問委員会が開かれました。
西村経済再生相
「首都圏や関西圏におきましては、自治体の入院調整が厳しい状況である。このことは継続していることなどから、引き続き緊急事態措置を実施する必要があり、緊急事態宣言の期限を3月7日まで延長することとしてはどうかと考えている」
■「改善」すれば前倒しで解除も
基本的対処方針の改訂案には、「緊急事態宣言を出す区域を定めるにあたっては、都道府県の社会的なつながり等を考慮する」という文言が追加され、栃木県は感染状況が改善しているため、宣言を解除する方針です。
また、政府は宣言を延長しても、感染状況や医療提供体制などが改善した地域から、期限を待たず前倒しして解除する方針です。
解除された地域について対策を段階的に緩和し、感染状況が「ステージ2」に下がるまでは、飲食店への時短要請を行うよう求めています。
■大阪は解除に向け独自基準
こうした中、大阪府は政府に対して宣言の解除を要請する時のため、独自の基準を定めました。
「新規感染者数の平均が1週間連続で300人を下回る」または、「重症病床の使用率が1週間連続で60%を下回る」となれば、専門家の意見を聞いたうえで、政府に対し緊急事態宣言の解除を求めることを決めました。
今月にはワクチンの接種が、医療従事者から始まっていく見込みです。接種する場所について、厚労省は、病院やかかりつけ医などの診療所、自治体が指定する特設会場に加えて、職場での接種も検討していくと明らかにしました。
これからの議論となりますが、職場やオフィス街に日中に接種会場があったりすると、受けやすいかもしれません。ただこの場合だと、住民票のない自治体で受けることになる人もいるので、自治体の負担が課題となります。
■ワクチンが遅れる?原因は「輸出制限」
そんな中、ワクチンの供給が遅れる可能性がでてきています。河野ワクチン接種担当相は、EU(ヨーロッパ連合)のワクチンの輸出規制により、日本の供給スケジュールに影響が出ていることを明らかにしました。
河野ワクチン担当相
「EUで、この輸出透明性メカニズムが決められて、日本の供給スケジュールにも影響が出ているところです」
EUは、イギリスの製薬大手アストラゼネカからのワクチン供給が、事前の合意を大幅に下回る見通しとなりました。このため、イギリスで製造するワクチンを「EUにまわすべき」と要求。さらに、加盟国で製造するワクチンをEUの許可無しに域外に輸出できなくする事実上の対抗措置も発表し、ワクチンの輸出規制をかけました。
河野大臣はEU側との間で「日本でもワクチンが感染拡大防止の切り札と考えているので、不公平な取り扱いにならないよう議論している」と強調しました。EU側からは、最大限の配慮をすると回答があったものの「依然として供給スケジュールは確定していないのが現状だ」ということです。
■ワクチン「不安」の声減るも、日本は…
このように世界でワクチンの争奪戦が激しさを増してきている中、各国ではワクチンの接種について「不安だ」という声が急速に減っています。
フランスに本社を置く民間の調査会社が1月中旬、世界15か国の人を対象に行った調査では、今年1月と去年12月を比較すると、ワクチンの接種を「強く希望する」と答えた人がイギリス、中国、アメリカ、日本で増えていることがわかります。この問いは、調査した15か国全てで増えていました。
ただ日本を見ると、「強く希望する」と答えた人は17パーセントと、15か国の中でも割合が最も低かったといいます。こうした不安そして迷いがあるというのは個々の調査結果にも出ていますので、政府がしっかりと情報公開をして、説明することが重要です。
(2021年2月2日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)