修学旅行は幻に…小学校で最後の思い出作り
■3回計画も中止 本音は作文に
12日夜。子どもたちが真っ暗な中を歩いています。
歓声に交じり、「なんかさ、夜のベートーベン怖くない?」と声が上がります。
埼玉県坂戸市の入西(にっさい)小学校。6年生が卒業前最後のイベントである、夜の「学校探険(ナイトウォーク)」を楽しんでいました。
この時、卒業まであと8日。子どもたちは、コロナで度重なる我慢を強いられてきました。
ナイトウォークに参加した6年生
「(修学旅行が)延期になって。最初は(去年)6月、次に11月、2月。なくなって、今の形になります」
学校はこれまで3回も修学旅行を計画してきました。コロナによる一斉休校(6月)や坂戸市からの自粛要請(11月)、そして緊急事態宣言の延長(2月)に見舞われ、行くことは叶いませんでした。
2月に児童が書いた作文には、3度目の中止を聞いた時の、みんなの本音が残されていました。
「本当にぜつぼうしました」「このままおわるのだけはいやだ。コロナに気をつけながらも思い出をつくりたい。あと32日しかないけど」
■担任「なんとか叶えてあげたい」
6年生の担任
「本当に連れて行きたい気持ちがあったけれど、『連れて行けなくてごめん』って(思いました)。なんとか行かせてあげたい、なんとかこの1泊2日(の修学旅行)を3つに分けられないかなと考えました」
「子どもたちの思いに応えたい」と、3回なくなった修学旅行に代わって計画されたのが、感染対策を徹底しながらの、3回に及ぶ思い出作り。1回目は日帰り卒業旅行、2回目がバーチャル修学旅行、3回目がナイトウォークと花火です。
3月5日にあったバーチャル修学旅行では、専用のゴーグルをつけてエジプトへ。「すげー、すげー」「待って、ピラミッドある!」と子どもたちは教室で大興奮でした。体育館ではドローン競争も楽しみました。
■“春の花火”に咲いた笑顔
12日、最後の思い出作りの日を迎えました。
担任が「今日が最後です。これで“修学旅行”を終わりにしたいと思います」と呼びかけました。
ナイトウォークの後は、春の花火で締めくくり。「めっちゃきれい」と声が漏れ、我慢した時間を取り戻すかのようなひと時でした。
「楽しかったです」
「コロナでいろんなイベントが中止になってすごく悔しかったけど、最後にこういうことができて、本当にみんなには感謝がいっぱいあります」
子どもたちは満足そうでした。
「正解がない中で、何を子どもたちにしてあげられるんだろうと、ずっと悩んできました。無事に3回終わることができて、子どもたちの笑顔を見られたので、今はほっとしています」。担任の先生も笑顔を浮かべました。
(3月12日『news zero』より)