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うつ病の薬がコロナに「効果期待」研究発表

2021年3月17日 20:20
うつ病の薬がコロナに「効果期待」研究発表

新型コロナウイルスの感染拡大にともない1都3県に出している緊急事態宣言について、政府は21日に解除する方針を固めました。変異株の広がりなど懸念もありますが、そんな中、日本の研究グループが、うつ病に使われる薬が新型コロナの治療や予防に効果が期待できると発表しました。

■東京の感染者 9日連続で増加

17日、東京都で新たに新型コロナウイルスへの感染が確認されたのは409人でした。400人を超えたのは1か月ぶりです。1週間前は340人でしたので69人上回ったかたちで、新たな感染者が前週より増加したのは9日連続となりました。

■緊急事態宣言 21日に解除の方針

期限が21日に迫る緊急事態宣言をめぐっては、期日で解除するのか延長するのか議論されてきましたが、菅総理は16日夜、21日で『解除』する方針を固めました。理由として、病床の使用状況が改善していることなどを挙げています。17日に関係閣僚と詰めの協議を行い、総理自ら説明する方針です。

こうした中、政府関係者からは「宣言の解除よりも、再拡大を防止する策をどう打ち出すかが大事だ」という声も聞こえてきます。飲食店の時短要請をどうするか、医療体制をどう充実させるか、ワクチン接種をどう進めるのか、GoToキャンペーン再開できるか、課題が山積しています。

■宣言解除に慎重な意見も…変異ウイルスで死亡事例

一方で解除に慎重な意見も根強くあります。感染者数の下げ止まりや、変異ウイルスに感染した人の死亡事例も出ていることなどが背景にあります。

16日は、国内で初めて変異ウイルスに感染した人の死亡事例が発表されました。神奈川県の発表によると、亡くなったのは70代と50代の男性で、70代男性は基礎疾患がなく、感染が判明してから1か月以上入院していたさなか、変異ウイルスが検出されました。50代男性は、高血圧や脂肪肝の基礎疾患があり、死亡後に変異ウイルスの感染が判明したそうです。2人とも感染経路は不明だということです。

そして17日は、大阪府の吉村知事が、80代の女性が変異ウイルスに感染して亡くなったと発表しました。

先週の時点で政府分科会の尾身会長も「早晩、変異ウイルスが主流になる」と話していましたが、静岡県浜松市では、10人が変異ウイルスに感染していたことが分かっています。浜松市内では今月11日に小学校の放課後児童会でクラスターが起きたと公表されていて、今回の10人はこのクラスターの感染者でした。

■うつ病の薬がコロナに効果か

変異ウイルスへの警戒感が強まる中、九州大学などの研究グループは17日、新型コロナウイルスの治療や予防に、うつ病に使われる薬が効果が期待できると発表しました。

九州大学大学院薬学研究院・西田基宏教授
「私たちの体の細胞の中に侵入する過程を阻害する今までにない新しいメカニズムで、ウイルスの感染を抑制できることを見いだした」
「ウイルスの変異株に依存しない。どんな変異株が来ても入っていく過程を抑制できる可能性を秘めている。非常に魅力ある、将来性のある薬として我々は期待しているところであります」

あくまでも細胞レベルでの研究段階ですが、変異ウイルスにも効果があるかもしれないと言います。

研究チームの先頭に立っているのは九州大学大学院薬学研究院の西田基宏教授で、着目したのは「クロミプラミン」という薬です。うつ病に効く薬として50年前から使われているものです。この薬の効果を新型コロナウイルスに感染したヒトやサルの細胞を使って実験したところ、ウイルスが細胞に侵入するのを防ぐ効果があったといいます。

ただ、予防ではなく、治療を目指していると言います。現段階では「細胞レベルの実験で効果があった」というのにとどまります。うつ病の治療薬として使われている薬ですから、健康な人が脳に作用する薬を予防薬として飲んでいいのかどうかとなると、そこは難しいと思うと話していました。

当初は研究している先生も「予防目的」になると考えたと言いますが、研究を進めた結果、現在はコロナの治療薬として使うことを目指しているそうなんです。と言いますのも、実験ではウイルスが細胞へ侵入するのを防ぐ以外に、ウイルスを増殖させない効果がみられたことからとのことです。

ただ現段階では、治験などを進めていないので、「実際に私たちの体に投与した時に効果がみられるのかどうかは分からない」と話していました。

もし効果や安全性が確認できたら、重症化を防ぐための薬として使うことを研究グループは期待しています。早ければ今週末に、動物を使った検証をスタートするということです。

     ◇

政府は、21日に緊急事態宣言を解除する方針を固めました。暖かくなってきて、マスクの下がモワッと暑く感じるようにもなってきましたが、またリバウンドとならないよう、ひとりひとりが感染対策をゆるめないことが大切です。

(2021年3月17日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)

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