LINEナニが問題?自分でできる対策紹介
通信アプリLINEで利用者の個人情報に中国の技術者がアクセスできる状態だった問題を巡り、LINEの出澤社長は23日に謝罪し、対策を発表しました。私たちの個人データは大丈夫なのでしょうか。自分でできる対策も含め、この問題をイチから解説します。
■LINE社長が謝罪「信頼を失うものであった」
今回のLINEをめぐる最大の問題は、中国の拠点から日本のLINE利用者の個人情報にアクセスできる状態だったことです。出澤剛社長は23日、「信頼を失うものであったということは本当に心から痛感している」と陳謝しました。
電話番号は知らないけれどもLINEは知っているというくらい生活に密着したツールのLINEについて、24日、街でも話を聞いてみました。
主婦(70代)「きょうも待ち合わせしてここにいるんですけど、それもLINEで。どこにいる?って感じで」
学生(19)「病院とかの予約もLINEでできたりするので。個人情報もLINEでやりとりするので、そういうのが流出するのは怖い」
不動産関係(50代)「信頼をもってLINEを利用しているわけですから、お互い。それが守られていないということは改善してほしい」
日本でのLINEの利用者数は8600万人。年代別の利用率は、20代・30代で90%を超え、50代は82.6%、60代は52.8%と非常に幅広い年代に浸透していて、LINE自身が「生活インフラとして定着」していると自負しているほどです。それだけに、今回、個人情報の扱いについて厳しい目が向けられています。
■LINE“情報管理”ナニが問題なのか?
まず、私たちがLINEのトークでやりとりしている「画像や動画」のデータ、スマホ決済「LINE Pay」の取引情報、遠隔診療サービス「LINEドクター」の健康保険証などの画像データが、韓国で保管されていました。
また、LINEは、開発や保守を一部、中国にある子会社などに依頼していましたが、その子会社の技術者が、「トーク履歴」「名前」「電話番号」といった個人情報を閲覧できる状態で、少なくとも32回のアクセスがありました。
情報セキュリティーに詳しい日本ハッカー協会の杉浦隆幸さんは、「中国当局に見られる可能性もないとは言い切れない」状態だったと指摘しています。中国には2017年にできた「国家情報法」という法律があり、企業は国にデータの提出を求められたら応じなければなりません。国の諜報(ちょうほう)活動への協力を義務づけているのです。
LINE側は「情報漏洩(ろうえい)は確認できていない」とした上で、社長の出澤氏は「(中国の)国家情報法、2017年、18年のタイミングでの潮目の変化を見落としていた」と話しました。
■対応に追われる自治体も
国内に8600万人のユーザーがいるだけに、LINEは公共性の高い場面でも広く使われています。
例えば千葉県市川市では、「大型ゴミ(粗大ゴミ)」の処理申し込みに活用。また、住民票関係証明書の申請などにも活用していて、こうした本人確認が必要な3つのサービスについてはLINEの活用を一時停止しました。
新型コロナウイルスのワクチン関連で、対応に追われている自治体もあります。神奈川県の寒川町では、LINEを使ってワクチン接種の予約を行うことにしていました。しかし今回の問題を受けて、現段階ではLINEを利用しないことにしたといいます。LINE側の改善案を見て、安全を確認してから、あらためて判断していくということです。
■LINEが発表した改善策
LINEは23日、おもに次のような改善策を発表しました。
(1)中国からのアクセスを遮断
23日で、中国からの個人情報へのアクセスを完全に遮断。さらに、中国でのLINEメッセージアプリに関する業務を終了。
(2)データ保管を日本に移行
韓国で保管していた「画像・動画」「LINE Pay」などのデータを、今年中に日本に移していく。
■個人情報を守るLINEの設定
個人情報を守るために、私たちにできる対策もあります。メッセージを他人に見られるのを防ぐためのLINEに備わった方法です。
まず、LINEのホーム画面の右上にある「設定マーク」を押し、次に「プライバシー管理」を選択。すると「Letter Sealing (レターシーリング)」という項目があるので、これを【オン】にしてください。オンにしておくことで、トークや通話の内容が暗号化され、運営側であっても閲覧することができなくなります。ハッカーに外される可能性もゼロではないので、こまめにチェックした方がいいそうです。
前出の杉浦さんは、「便利になるということは、なにか捨てている部分もあって、その捨てている部分が『プライバシー保護』になりやすい」と指摘しています。
プライバシー保護はこれまで以上に重要になってきています。ルールは常に更新されているので、注意してみていく必要がありそうです。
(2021年3月24日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より