マイナ保険証 2日から本格移行 診察・薬…メリットは?課題も…【バンキシャ!】
2日から現行の健康保険証の新規発行が停止し、本格的に「マイナ保険証」へ移行します。まだ全国的に利用率が高いとは言えませんが、私たちの生活にどのような変化があるのでしょうか。医療現場において「マイナ保険証」のメリットや課題とは?【バンキシャ!】
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30日、神奈川県川崎市にある眼科クリニック(タワーリバーク眼科)。
バンキシャ
「マイナンバーカードで受け付けをしています」
「こちらの人もマイナンバーカードを使って受け付けをしています」
受付で使われていたのはマイナンバーカード。それを健康保険証として使う「マイナ保険証」への移行が本格的に始まるのだ。
従来の健康保険証は2日から新規発行が停止。ただ、会社員の場合は2025年12月1日までは利用することができる。国民健康保険などの場合は、保険証に書かれている有効期限まで使うことができる。
しかし、街では…
母親(57) 娘(33)
「(ひも付けを)しないといけないんだろうなと思いながら、しないまま健康保険証を使っている、病院では」
社会人(23) 大学生(22)
「必要性があまり分かっていない部分はある」
妻(75) 夫(80)
「(マイナ保険証は)1回使ったことがある。正直なんのメリットも感じなかった」
マイナンバーカードを持っている人の中で保険証として利用登録している人は82%(10月末時点)。しかし、そのうちの8割以上が利用しておらず、実態は、ほとんどの人が従来の健康保険証を使っている。
「マイナ保険証」で何が変わるのか?
バンキシャ!は、クリニックの受付と診察室にカメラを設置。医療の現場で見えてきたものは…。
「マイナ保険証」は使う人と医療機関にとって、どのようなメリットがあるのか。
まずは受付。初めてクリニックを訪れた人が従来の健康保険証を出した場合。受付スタッフは健康保険証を見ながら、氏名、生年月日、保険者番号などをパソコンに入力する。
一方、初めてクリニックを訪れた人がマイナ保険証を出した場合は…
受付スタッフ
「きょうマイナンバーカード?」
初めて来院
「そうです」
受付スタッフ
「でしたらすぐにその場で予約できるので、マイナンバーだけかざして」
初めて来院
「初めてなんですけど」
受付スタッフ
「初診でも」
データの入力などはなく、カードをかざすだけで受け付けは完了した。
さらに、受付が電話対応中でもマイナ保険証を使用なら…
受付スタッフ
「はい。タワーリバーク眼科でございます」
受付スタッフと直接話すことなく、患者自身で受け付けを済ませることができた。
メリットは診察でも。マイナ保険証で受け付けをすると、その患者の情報が、これから診察をする医師のパソコンに、即座に表示される。本人の同意を得て、別の医療機関での1か月前までの診療履歴や、処方薬の情報などを確認できる。
タワーリバーク眼科 大塚 宏之 院長
「症状・かかっている病院を聞いたり、のんでいる薬を聞いたりがいらない。全部(情報が)入っている。より正確なのが」
実際にマイナ保険証を使った患者の診察を見てみると…
大塚 院長
「まだ出血があって、だいぶ明るくなっているので、もうちょっと出血が引くのを待つって感じかな」
この患者は網膜の病気の治療を受けに来たという。薬の話になると…
院長
「飲み薬はもう終わっちゃいそう?」
マイナ保険証を使用
「まだ、1週間ちょっと分はあると思う」
院長
「そうしたら、きょう3週間分出しておくので1か月後にみせにきてください」
前回処方された薬の履歴から、まだ1週間分残っていることが判明。診察後に本人の許可をとって患者の情報を見せてもらうと…
院長
「この患者はお薬まだ余っている。きょう追加をしたら『まだあるはずでしょ?』というチェックが入った」
画面の左下には「重複投薬・併用禁忌チェックにヒットしました」という文字が。今回表示されたのは同じクリニックの過去のデータだったが、マイナ保険証を使った場合、別の医療機関の1か月前までの情報を共有できる。
院長
「(サーバーが)他の病院や他のクリニックの電子処方箋と合わせて見せくれる」
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マイナ保険証への移行が本格化する一方、義務化に反対する裁判も起きていた。
「マイナ保険証の義務化は違法」だとして、1415人の医師らによる原告団が国を訴えた裁判。28日、原告の訴えは棄却されたが、そもそも、なぜ反対したのか?
30日、原告団の事務局長に話を聞いた。
原告側・事務局長 いつき会ハートクリニック 佐藤 一樹 院長
「(導入の)費用は全部、パソコンにつながっているけど全部で36万円くらいだったんですけど、政府の補助が31万円ちょっとしか出なかったので少し足が出た」
マイナ保険証を読み込むカードリーダーは無償で提供されたが、ソフトウエアの導入などには自費でおよそ5万円、回線費用やセキュリティー対策などにも毎月1万4500円ほどかかるという。
さらに他のクリニックでは…
佐藤 院長
「新しいレセプト(診療報酬明細書)コンピューターにしないと、システムを設置できないクリニックもありまして。400万円かかる人もいて、それが原因で廃院したところもあります」
裁判ではマイナ保険証が廃業の直接の原因とは認められなかったが、(原告団は)これまで電子化を進めなかった過疎地域のクリニックなどは経済的な負担に耐えられなくなるケースもあると主張している。
また、他にも課題が。
名前や住所の旧字体は黒丸で表記されるケース。高齢者が暗証番号を忘れて入力できないケース。さらにカードリーダーで顔認証ができない、などがあるという。
2日から本格移行するマイナ保険証。厚生労働省はこれらの課題の解決に取り組み、メリットの周知も訴えていくという。
*12月1日放送「真相報道バンキシャ!」より