「お守りしますので」90代女性から“キャッシュカード詐取” カメラが捉えた不審な男の犯行一部始終
90代の女性が、自宅を訪ねてきた男にキャッシュカードをだまし取られる被害にあいました。玄関に設置されたカメラが、その犯行の一部始終を捉えていました。
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先月25日の昼すぎ。家の前でうろつく一人の男。詐欺の受け子です。
富山県で一人暮らしをする90代女性の住宅に入ってきたのは、黒っぽい色のパーカを着て、リュックを背負った若い男。誰かと連絡を取っているのか、耳にはイヤホンを付けています。
男
「○○さんのご自宅でしょうか。失礼します△△です。遅くなりました申し訳ありません」
女性
「今1時間以上しゃべっていた、電話で。まだ切ってないよ」
男
「しっかりお守りしますので、大丈夫ですよ。電話は切らないようにしていただければ」
男が家を訪れる前、警察官を名乗る別の男から、女性に電話があったと、親族は話します。
女性の親族
「電話かけてきた人は『郵便局や銀行にも悪い人はいっぱいいる』。お金を抜かれているので通帳・キャッシュカードを確認させてくれと」
男
「電話口の刑事から説明あったかと思いますが、キャッシュカードをお持ちいただきたい」
女性は男の指示通り、金融機関の通帳やキャッシュカードを出しました。
女性
「えらいことになっちゃったね」
男
「大丈夫です。お守りしますので」
女性が書類を取りに奥の部屋に戻ろうと背を向けたとたん、男は女性の通帳を開きます。預金の残高を確認しているのか、しばらく通帳を見つめていました。そして、女性のキャッシュカードや書類がそろうと…。
男
「請求申請・被害認定をさせていただきたいと思います」
女性
「ちょっと持って帰る?」
男
「家で厳重に保管していただきます」
手元を見ると、女性のキャッシュカードを封筒に入れています。
男
「ここにサイン。割り印の代わりにサインをいただきたい。ボールペンをお持ちいただいてもよろしいですか」
男は次の瞬間、背中から別の封筒を取り出し、女性のキャッシュカードを入れた封筒とすり替えました。一瞬の出来事で、慣れた手つきにも見えます。
すり替えられた封筒には、何が入っていたのか。女性の親族によると…。
女性の親族
「トランプを両面テープで貼り合わせたものが入っていた」
男
「こちらは手続きが終わるまで、厳重に家で保管してください」
男は女性に念押しすると、「この後は他の刑事が電話で指示をする」と言い残し、家を後にします。
男
「私は他の被害者のところに回らせていただきますので、失礼いたします」
女性
「ご苦労さまです」
◇
男が家に滞在した時間は約11分。住宅が立ち並ぶ地域で、キャッシュカード2枚を奪っていったといいます。
女性の親族によると、カードが奪われた翌日までに、女性が利用する2つの金融機関の口座から複数回にわたり、合わせて約100万円が引き落とされたということです。その際、暗証番号を間違えた形跡があり、金融機関からの連絡で被害が発覚しました。
女性の親族
「映像にもあったように、全部の通帳を見られている。怖い。また来るんじゃないかと」
女性と親族はカメラの映像を警察に提出したほか、近く被害届を出す予定だということです。