コロナと五輪 “国立”前の老舗ラーメン店
開会式がおこなわれる国立競技場。その目と鼻の先に、創業61年のラーメン店があります。“国立”を見続けてきた店主。“コロナ”と東京オリンピックへの思いを語りました。
東京・千駄ヶ谷に創業61年のラーメン店があります。
21日も、厨房(ちゅうぼう)に立ちラーメンをつくり続ける男性、牛久保英昭さん。
牛久保さん
「楽しみだね。オリンピックというと気持ちが踊ります。1人の男として、少年として」
国立競技場の目と鼻の先にある元祖背脂入りラーメン店「ホープ軒」。スープは、創業から続く伝統の背脂を使ったとんこつ醤油。
利用客
「オリンピック会場の周辺でぶらぶらしていた」
「あと味さっぱりです。おいしいです」
前回の東京オリンピックの4年前・1960年に、屋台からスタートした牛久保さんのラーメン道。1杯50円の時代でした。
牛久保さん
「ラーメンは、当時としては大変なごちそうだったんですよ。ラーメンを食べることはぜいたくで、チャルメラ吹いて歩くのも、最初は残業しているような小さな工場とか回ったり。そこから盛り場なんかに行ったりして」
「あのとき(1964年)は、復興五輪で日本中がバタバタしていたし、国力で動いていった。われわれ庶民は『明日の生活はよくなる』と夢見てましたね。『上を向いて歩こう』と、そういう時代でしたね」
1975年、現在の場所に店を構え、お客の腹を満たしてきました。1日に2000杯のラーメンを作る日もあったといいます。
牛久保さん
「(東京五輪の招致決定は)日本にオリンピックがきたということで、みんなで大歓迎しましたよ」
「前のオリンピックは、私の青春時代。またもう1回。夢をもう1回」
五輪の開催にあわせ、店の券売機のメニュー表記を外国語に対応。しかし、五輪は無観客開催となり、外国人の来店は期待できません。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響は、店の売り上げにも――
牛久保さん
「コロナの影響は結構大きい。(売り上げが)2割ぐらい下がっている」
さらに、大会開催に伴い、店の前は大規模な交通規制が行われています。
牛久保さん
「車が規制されれば、売り上げはガクンと減りますよ。お客さん来てくれないから、しょうがない」
“コロナ”と“五輪”の影響。店の我慢が続くなか、21日も、牛久保さんは厨房に立ち、ラーメンをつくり続けます。
Q.(五輪の)1番の楽しみは?
牛久保さん
「(陸上の)短・中距離だね!」
「ワクワクしますね。人間の限界を超える人は偉いなと思います」