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東京の重症者1か月で“倍増”厳しい試算も

2021年8月9日 17:34
東京の重症者1か月で“倍増”厳しい試算も

東京都では、新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大が止まらない状況です。重症者も過去最多に迫る勢いで増えていて、この1か月で倍以上となっています。

■第5波で初 自宅療養者の死亡確認

まずは東京都の感染者です。8日、都内で新たに感染が確認されたのは4066人でした。5日連続で4000人を上回り、日曜日としては過去最多となりました。

東京都が、この人たちがいつ感染したかを調べたところ「7月の終わりから8月の頭辺り、7月下旬にあった4連休が終わった後だった」ということです。

つまり、今までは「連休があると感染者増えて、終われば減少する」傾向にありました。しかし、今回は減らずに、まだ増え続けています。東京都の担当者は「いつの段階で減るのか予想がつかない状況」と話しています。

また、7日には第5波に入り、自宅療養していた人が初めて亡くなりました。亡くなったのは50代の女性。自宅療養をしていましたが、感染確認から3日後に容体が急変。自ら救急搬送を要請し、病院に運ばれましたが、その日に亡くなってしまったということです。

■病床「確保しても、しても足りない状況」続く恐れも

そんな中、感染者の増加と共に懸念されているのが重症者の増加です。今月4日に開かれた厚労省の専門家会議で、東京都の重症者数について、非常に厳しい試算が示されました。

京都大学の西浦博教授らのシミュレーション。「1人から何人に感染させるか」を示す実効再生産数で試算が行われました。

現在の実効再生産数は、1.5ぐらい。つまり「1人の感染者が1.5人にうつす」とされています。なので、現状を鑑みて、これよりやや高めの「1.7人」と想定して試算しています。

現在、東京都が確保している重症者用病床は392床。実効再生産数が10%下がった場合でも「来週の19日、20日ぐらいには満床に達する」という試算になったのです。一方、実効再生産数が50%下がった場合は「確保病床を超えることはない」というふうになっています。

実効再生産数を下げるためには、今は感染力の強いデルタ株の影響もありますから、とにかく人との接触を減らすしかありません。そうしないと感染者数は減らず、重症者数もどんどん増えていく可能性があり、病床を「確保しても、しても足りない」状況が続く恐れがあるのです。

■若い世代の重症者も…「大丈夫」と思わず危機感を

実際、東京都の重症者数がどうなっているのでしょうか。

先月8日が60人。そして、8日が151人と1か月で約2.5倍に増えました。過去最多は1月20日の160人、8日は151人ですから、そこに迫る勢いだったんですが、年代別にみてみると当時とはだいぶ違うことがわかりました。

1月20日は50代以下は15%でした。それが8日は、50代以下が約69.5%に急増。40代、50代が大半ですが、1月にはいなかった10代、20代、30代の重症者もみられました。

若い人たちも「自分たちは大丈夫」と思わず、「全ての世代で感染したら重症化するんだ」という危機感を持つ必要があることがわかります。

■若い世代にメッセージを 新たな取り組み

今の感染爆発を抑えるためには、特に中高年や若い世代、一人ひとりの行動にかかっています。若い世代にメッセージを伝えるため、新たな取り組みも始まっています。

2日から緊急事態宣言が発出されている神奈川県の公式ツイッターでは、実際の感染事例をつぶやいています。

『仲良しグループでお泊まり会。みんなで遊んで食べて、楽しい時間を過ごした。その後1人の陽性がわかり、次々と陽性が判明した。友達の家でも長い時間を共有することは感染のリスクを伴います。楽しい夏休みですが、感染拡大期の今は控えましょう』

神奈川県の担当者、医療危機対策本部室グループリーダー・小野聡枝さんは「実際に20代の若いメンバーが文章を作って、若い方にも届くような文章で発信をしている」と、若者に知ってもらうための工夫を話していました。「短い文で伝わりやすい文章にする」のがコツだということです。

事例はほかにも。

『微熱が出たが、風邪だと思い薬を飲み外出した。その後、症状が悪化し重症化。陽性であったことがわかった』

体調の変化に気づいたら外出を控え、早めの受診を呼びかけるものです。

SNSは身近なものであると同時に拡散もできるので、少しでも多くの人に情報が行き届いてほしいと思います。

神奈川県の担当者・小野聡枝さんは「クラスターは同じような状況でいろんなところで発生していて、事前に注意していればクラスターにならかったかもしれないと日々感じていた」と話していました。

ツイッターを見た人からは「こういう感染事例を知りたかった」「自分が大丈夫だと思っていた行動が実はNGな場面があるということを知った」などという反応があったということです。

紹介した事例は、神奈川県公式ツイッターからいつでも見ることができます。こういう情報を共有しながら、夏休みやお盆など、自分たちの行動を考えてほしいです。

(2021年8月9日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)