脱毛“3倍”女性に出やすい後遺症は…調査
製薬会社が、今ある治療薬を新型コロナウイルスの予防薬としても使えるように、11日、厚生労働省に申請しました。さらに、コロナの後遺症が症状によっては女性の方が出やすいという調査結果が明らかになったので、詳しく説明します。
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■中外製薬「抗体カクテル療法」予防薬として申請
新型コロナウイルスの感染状況について、11日、東京で新たに感染が確認された人は49人で、今年、最も少ない人数となりました。また、50人を下回るのは、去年の6月25日以来となっています。
この急激な減少について、都の専門家などによると、ワクチン接種が進んだことが1番の理由で、そのほか災害レベルで感染が悪化したときの「アナウンス効果」で、対策をより意識したこと、また感染リスクの高い行動をしていた人たちがすでに第5波までに感染したことなどが考えられるということです。
「検査数が少ないのでは?」と疑問に思った人も多いのではないでしょうか。専門家に話を聞いてみると、「一定のワクチンの効果があり、体調不良になる人が少なかったのでPCR検査が行われていなかった。つまり、検査数が少なかった、という流れがあるのではないか」ということでした。そのワクチンの接種率を全人口でみると、2回目を打ち終えた人は64.8%となっています。
そして、3回目の接種をどうするのかについて、12日、岸田総理大臣は「早ければ今年12月からの開始を想定して準備を進める」と話しました。さらに、ワクチン証明書については「年内をめどにマイナンバーカードおよびスマートフォンを用いた電子申請・交付の実現に向けた検討を進める」と述べました。どちらも、年内に始まる可能性が出てきたと言えます。
そのような中、コロナの治療薬についても新たな動きがありました。
現在、主に重症化リスクのある軽症者に対して治療薬として使っている抗体カクテル療法について、薬を販売する中外製薬は今後、新たに予防薬としての投与や、無症状の感染者への投与ができるよう、厚生労働省に11日、申請しました。
予防薬としては、新型コロナ患者の濃厚接触者を対象に行われた海外の臨床試験で、発症リスクをおよそ「8割低減」させる結果が得られたということです。
また、抗体カクテル療法は現在、点滴での投与となっています。中外製薬は「皮下注射」での投与も追加で申請しました。点滴用の病床確保が難しい場合や、往診で使いやすくするなど、投与方法の幅を広げる狙いがあります。
■“後遺症”調査 半年後も「4人に1人」に残る
ワクチンや治療法が広がりを見せる中、コロナの後遺症についても過去最大規模の新たなアンケート結果が発表されました。国立国際医療研究センターがコロナ患者526人に行い、457人から回答を得たということです。
その結果、発症、もしくは診断された時点から半年後も26.3%の人には何らかの症状が残っている、つまり後遺症があることがわかりました。回答者の8割以上が、軽症者でした。つまり、軽症であっても何らかの症状が残り、長引くことが明らかになったということです。つまり、半年後でも、4人に1人に後遺症が残るということになります。1年後でも8.8%に後遺症があったということです。
どのような症状が長引くのでしょうか、半年後では─。
嗅覚障害 7.7%
だるさ 6.6%
息切れ 3.9%
味覚障害 3.5%
こうした症状などがみられたということです。1年後には、ほとんどの人で改善されたということです。
一方、診断時点などには目立たず、後から現れる症状として、以下の症状がありました。
記憶力低下 11.4%
集中力低下 9.8%
うつの症状 8.1%
脱毛 3.1%
「記憶力の低下」、「集中力の低下」は半年後で10%前後、1年後でも5%前後、後遺症として現れました。
紛らわしいですが、これらはワクチンの副反応ではなくて、コロナの後遺症の話になります。
■脱毛“3倍”女性に出やすい後遺症とは
男性よりも女性で出やすい症状もありました。
男性に比べて女性の方が、嗅覚障害がおよそ1.9倍、味覚障害がおよそ1.6倍となっています。倦怠(けんたい)感がおよそ2倍、そして、脱毛にいたっては、女性の方がおよそ3倍出やすかったということです。
3倍と高いのは、なぜでしょうか。専門家も「この理由を探るのは難しいし、まだわからない」と言っています。
研究の責任者である森岡慎一郎国際感染症対策室医長は、今回の調査は、症状などはあくまで自己申告であることを指摘しています。例えば、同じ脱毛でも男性より女性の方が気になったりすることがあります。こういうことが前提にあるとしながら、「世界的にも女性はいろいろな後遺症が出やすいとされている。しかし、原因はわからない」といいます。
また、嗅覚や味覚障害については「若くてやせている人」ほど、出やすいことがわかったということです。一方で、重症化のリスクは高齢者や肥満の人が高いです。つまり後遺症はそれとは正反対の「若くてやせている人」の方が出やすいということです。この結果についても、先ほどの森岡氏は「我々も不思議だと思っている」ということです。
今後については、「追跡調査をし、長期的に見ていかなくてはならない。後遺症の薬を作ることも視野に入れています」ということでした。
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ワクチンの接種も進み、さまざまな研究が世界中で進められ、調査結果が続々と明らかになっていますが、一人ひとりができることは感染対策を徹底すること、これにつきます。
(2021年10月12日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)