首相「小出しはだめ」水際対策の教訓と決断
新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」をめぐり、「全世界」を対象に入国禁止とした日本は、各国の水際対策の中でも厳しい措置をとったと言えます。背景には、少しずつ手を打った菅前首相の教訓があります。国内への侵入を遅らせることによる効果とは?
■菅前首相の「水際対策」と結果は
小野高弘・日本テレビ解説委員
「(全世界からの外国人入国禁止とした日本の措置は)アフリカだけ止めても意味がないということです。菅前首相の教訓もあります」
「今年1月の水際対策では、菅氏は『せめてビジネスの往来は続けたい』と主張しました。経済に影響するためです。ただ国内で感染が拡大している中、批判を受けて方針転換せざるを得なくなりました」
「その後、デルタ株が世界で広がりました。その水際対策でも4~6月、対象とする国を少しずつ増やし、入国後に待機を求める期間も少しずつ延ばしました。様子を見ながら少しずつ手を打っていくのが、菅氏のやり方でした」
「ただ結果的にはデルタ株の流入は食い止められず、7~8月には感染爆発が起きて、東京の感染者は9割以上がデルタ株に置き換わりました」
有働由美子キャスター
「この頃、病床がひっ迫して入院できない方が数多くいました」
■流入まで「時間稼ぎ」…効果は?
小野委員
「そこで今回、岸田首相は違う方法を取りました。政府関係者によると『段階的な入国制限でもいいのでは』という意見が出ましたが、岸田首相は『小出しはだめだ。まずは全部しめよう』と決断しました」
「別の政府関係者は、『対策が遅れた、では致命的だから、官邸がスピード感を演出している』と話しています」
有働キャスター
「今回、早い決断だったと思いますが、そうだとしてもいつかは(日本にも)入ってくるはずです。その時の対応はどうなっているのでしょうか?」
小野委員
「政府分科会の1人は『この措置で国内に入ってくるのを(数か月)遅らせられれば、その間に医療体制を整える時間を稼げる。オミクロン株が国内で流行する前にワクチンのブースター接種が間に合えば、感染拡大の山を小さくできる可能性も高い』と話しています」
(11月29日『news zero』より)