オミクロン株「最悪避ける」水際対策を強化
新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」への対策として、政府は30日から外国人の入国を全面的に禁止。水際対策を強化しました。世界で初めて確認された南アフリカの現在の状況や症状を、現地の在住者と医師に聞きました。
■オーストリアでも…世界で感染拡大
新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」への警戒が広がる中、政府は例外的に認めていた外国からのビジネス目的の短期滞在者や留学生、技能実習生の日本への入国について、30日から当面、1か月間、全世界を対象に禁止すると発表しました。
岸田首相は29日、「最悪の事態を避けるために、緊急避難的な予防措置として」と明らかにしました。
最初に確認された南アフリカをはじめ、香港・イギリス・オーストラリアなどで見つかっていたオミクロン株。NNNの調べでは、29日午後10時時点で14の国と地域にまで感染が拡大。また、オーストリアでも感染が確認されたことが新たに分かりました。
イギリス北部のスコットランドでは、新たに6人がオミクロン株に感染していることを確認。BBCによると、アフリカ南部や近隣諸国への渡航歴はないといいます。
地元当局は「市中感染が起きているかもしれない」との見解を示しています。
日本政府の今回の措置で、外国人の日本への新規入国は、人道上の理由など特段の事情がない限り、原則全面的に禁止になります。
■技能実習生「入国禁止」で影響は
技能実習生を受け入れている千葉・旭市の建築向け資材の加工会社「松山鋼材」では、以前働いていた人も含めて、年明けに技能実習生12人の受け入れが決まっていましたが、今後どうなるか不透明といいます。
インドネシアから来日している技能実習生(24)は以前一緒に働いていた仲間の写真をスマホで示し、「残念ですね。今は仕事いっぱいです。それが、人が少ない。大変になります」と話します。
社長
「(技能実習生は)全然足りません。本当に痛いです。実習生にかなり依存していましたから、死活問題です」
社長は今いる実習生を集め、「水際対策をしっかりとやる方がいいと思います。残念ですけどね。じゃあみんな、引き続き頑張ってください」と呼びかけました。実習生は「頑張ります」と声をそろえました。
■ナミビアからの男性「陽性」で解析
29日午後、成田空港ではオミクロン株が見つかった国などに滞在していなかったか、聞き取りが行われていました。まだ感染者が見つかっていない日本で、水際対策が強化されています。
後藤厚生労働相は、「28日、10日間の施設待機の指定国であるナミビアからの入国者で、1名陽性が確認された事例がありました」と発表。南アフリカと接するナミビアから入国した30代の男性が新型コロナ検査で陽性となりました。国籍は明かされていません。
発熱などの症状があるといい、国立感染症研究所でゲノム解析を行っていて、オミクロン株かどうかを調べているといいます。
関西国際空港を訪ねました。
仕事のためオランダから一時帰国した女性が持参していたのは、抗原検査キットでした。「定期的にセルフチェックを自宅でしていこうかなと。空港に自宅から向かう時は、本当に緊張したというか、ずっと気が抜けない感じで」
オミクロン株への不安が広がります。
■症状は…南アの医師「強い倦怠感」
日本でも「懸念される変異株」として警戒レベルが引き上げられたオミクロン株。世界で初めて確認された南アフリカの状況を、ケープタウンに住む谷向俊樹さんに聞きました。
「国としての規制はまだ出ていないので、変わらず、ですね。やっと元の生活に戻りつつあるかなという希望を持っていたところだったのに、また新しい変異株が出てきたので、ちょっとがっかりですね。誰が悪いというわけではないと思うのですが」
南アフリカから、オミクロン株の症状について新たな情報が寄せられました。
現地で感染者を診察した、南アフリカ医師会のコエツィ医師は28日、「症状としては1日、2日続く強い倦怠感の後に、頭痛や体の痛みがある。せきもあるが、ずっと続くものではなく、やがてなくなる」と話しました。重症患者はおらず、今のところ軽症といいます。
(11月29日『news zero』より)