【全文紹介】鉄道ファンの藤井聡太七冠 選考務めた「日本鉄道賞」スピーチにあふれる“鉄道愛”(日テレ鉄道部)
16日、東京都内で「鉄道の日」を記念した祝賀会が開かれ、第23回「日本鉄道賞」の表彰式が行われました。今回の選考では、鉄道ファンとしても知られる藤井聡太七冠が選考委員を務め、授賞式のスピーチでは、大勢の鉄道関係者を前に3分間の熱がこもった鉄道愛に満ちたスピーチを披露。ここに藤井七冠のスピーチの内容をご紹介します。
(日テレ鉄道部 藤田大介アナウンサー)
〜藤井聡太七冠 スピーチ全文〜(動画の音声は聞き取りにくい箇所があります)
今年の日本鉄道賞選考委員を務めさせていただきました将棋棋士の藤井聡太と申します。
このような場でご挨拶するのは初めてですので、大変緊張しております。
はじめに、このたび「日本鉄道賞」を受賞された各団体の皆様、誠におめでとうございます。
私自身、子供の頃から鉄道が好きで、今回選考に携わらせていただくことに大変光栄に思っております。また今まで一利用者、また一ファンとして楽しんできた鉄道を、また違った視点から見ることができ、大変勉強にもなりました。素晴らしい機会を頂けたことに、この場をお借りしてお礼を申し上げたいと思います。
今年の日本鉄道賞には、新路線の開業や新型車両のデビューといった非常に話題性の高いものから、安全性の向上や環境負荷の低減を目指すものであったり、また鉄道のこれからの活用方法を探るものまで本当に幅広いものが届きました。
いずれも鉄道の持つ価値や魅力を大きく引き出すもので、私自身も悩みながらも、大変楽しく選考をさせていただきました。選考の詳細については、この後古関委員長から紹介があるかと存じますが、私からも簡単に感想を述べさせていただきたいと思います。
まず今回、ご応募を頂いた中では、鉄道を通した地域の活性化といった視点に立った取り組みが多くあったことが印象的でした。鉄道が、安全で快適な移動手段であるだけにとどまらず、乗車体験の価値や地域の持つ魅力を発信し、鉄道と地域が相互に良い影響を与え合うことは、特に地方において鉄道の持つポテンシャルを最大限に生かすことにつながるのではないかと、そういったふうに感じました。
一方、インフラの整備や、またサービスや安全性の向上など、普段、利用者の目線ではなかなか意識しないことに関しても、多くのご応募を頂きました。今回初めて知ることも多く、大変勉強になるとともに、こういった取り組みが、いままでの鉄道を支えてきた、ということを改めて強く実感致しました。
また、今日ではAIを活用した技術革新が急速なペースで進んでいます。今回ご応募頂いた中にも、画像認識技術を活用した取り組みなどがありましたが、そういった技術を、鉄道がどう取り入れて生かしていくのか、という点についても、今後も楽しみに注目していきたいというふうに思っております。
結びに、日本の鉄道が今後もますます発展していくことを期待しております。
本日は本当にありがとうございます。
■大賞にはJR西日本・特急「やくも」〜沿線の文化・風景・自然とお客様、鉄道が交感する列車〜
今年最も優れた「日本鉄道大賞」には、西日本旅客鉄道株式会社 特急「やくも」〜沿線の文化・風景・自然とお客様、鉄道が交感する列車〜 が受賞しました。
企画コンセプトから車両内外のデザイン・グラフィックまで監修したデザイナー川西康之さん(イチバンセン)も会場に。満面の笑みで受賞を喜びました。
■デザイン監修 川西康之さん (全文)
この受賞は我々デザイナーではなくJR西日本の皆さん、それも幅広い分野の、車両から駅から営業からメンテナンスから清掃から、全ての皆さんが関わった受賞です。
また地域の住民の代表をして下さった社員のご家族の皆さんも含めて、またグループ会社の皆さんも含めての受賞です。本当にありがとうございます。
我々、「やくもカラー、気に入っていただけるかな?」と思って送り出したのですが、皆さんに浸透して下さって嬉しく思います。
登壇後の高井徹宇都宮ライトレール社長に単独インタビューをさせてもらいました。
高井徹社長
「特にこの4月以降、お客様がもっと増えてきました。
高校生や中学生が日常の足として使ってもらっている。特に高校生が増えたのは、東から街の中に通学するという新しい流れが生まれました。進学先の多様化なんかも図られたので公共交通事業者としてはうれしいです」
「そこに行けば来る日常の交通機関として、暮らしの中に溶け込み、街になじんできている様になりました。『ライトラインのある風景』になってきたのだと思います。一般の方、鉄道が好きな方、同業他社様がたくさん見にきてくださっている。新しいモデル列車の一つのあり方、街作りとセットになったような、街作りと連動したLRTのあり方宇都宮市、芳賀町、町のおかげです」
「今回の『日本鉄道賞特別賞』の受賞は社員たちの励みになったと思います。全国から移住して、私どもの社員になってくれて、1日、1日安全に運行してくれた結果だと思っています。社員たちを誇りに思っております」
高井社長の社員への感謝、そして協力してくれた市や町、生活者への感謝を真っ直ぐな眼差しで話していたのが印象的でした。賞状と楯を弾むような思いで持って帰るのではないでしょうか。他にも受賞された団体の皆さん、心からおめでとうございました!