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先行で振込開始も「10万円」で現金シフト

2021年12月15日 9:32
先行で振込開始も「10万円」で現金シフト

18歳以下への10万円給付をめぐり、全額を現金とすることを容認した政府。年内の一括給付も選択肢の1つとして、15日にも自治体へ通知する方針です。既に先行して5万円を振り込んだり、年内一括支給に踏み切ったりする自治体が相次いでいます。


■先行で…「5万円」振り込み開始

栃木・那須塩原市で、バーを経営する秋元孝行さん(49)に話を聞きました。

「約6か月くらいは(店を)休んでいる状況でしたね。いや、まあ、なかなかこういう時代が来るんだなっていう…」

新型コロナウイルスの影響を受け、協力金や取り崩した貯金でなんとかやってきたと話します。中学生と小学生の2人の娘がいる秋元さん。教育費などにお金がかかる時期です。

14日夜、ATMに向かいました。「今確認してきました。入っていました」という秋元さん。通帳には、14日の日付とともに「コソダテリンジキュウフキン(子育て臨時給付金)」として娘2人分で10万円が振り込まれていました。

那須塩原市では14日から、10万円給付の半分である5万円を、中学生以下の子どもがいる家庭に先行して支給しました。

秋元さんは早速、小学生の娘に報告し、「何か欲しい?」と聞きました。娘は「ホテルに泊まりたい。(福島の)ハワイアンズ」と答えました。

市は、残りの5万円についても、春先を待たずに現金で給付したいとしています。


■東京13区は「年内一括はしない」

東京で全額現金給付の方針を打ち出しているのは足立区です。区の担当者は「かねて、区民の方や区議会から、一括現金給付というご要望を受けていましたので」と言います。

14日、東京23区の自治体に取材したところ、年内に10万円を現金一括で給付することを検討しているのは足立区のみでした。13区は「年内に10万円一括給付はしない方針」で、9区が「未定」としています。

「一括給付をしない」と答えた区の多くは、「既に5万円の給付を対象者に通知し、予算も組んでしまっていて、今から10万円に変えるのは難しい」(担当者)という状況です。


■年内の一括支給でも…審査「ナシ」

政府が一転する形で容認した、18歳以下への現金10万円の一括給付。その指針について自治体に通知するとしていますが、岸田首相はその時期について14日の国会で問われ、「私としては一両日中にお届けしたいという風に思います」と答弁しました。

日本維新の会の足立康史議員が「一両日ということは、今日、明日中ということでいいですね」と確認すると、岸田首相は「はい。一両日中。今日、明日を言っております」と述べました。

自治体は、政府からの通知を待っていました。14日午後5時半時点で、足立区の担当者は「通知は届いていません」と明かしました。

取材で判明した方針によりますと、通知予定の文書には、現金とクーポンによる給付が原則だとしながらも、自治体の判断により、先行分の現金5万円と追加の5万円の組み合わせの他、年内に10万円の現金を一括で給付することも選択肢であると明記されているということです。

この場合、一定の条件を設けて審査を行うことは考えていないとしています。一方、現金に加えてクーポンで給付した場合、発生する事務費用も国の補助対象にすると明記しています。

政府は15日にもこうした文書を自治体に示す方針ですが、通知が届くのを待たずに準備を行うことも可能だと呼びかけました。


■大阪・神戸・和歌山も「年内一括」

大阪市は、改めて年内に10万円を現金で一括給付する方針を発表しました。

現金給付にこだわってきた松井市長は「なんとか、12月の27日、現金10万円一括給付をできることとなりました。岸田首相の『聞く力』が、良い方に作用したと思います」と歓迎しました。

兵庫・神戸市と和歌山市も、可能な世帯から年内の一括給付に踏み切る方針を示しました。

(12月14日『news zero』より)