サッカー観戦者もオミクロン株感染 行動は
日本でも海外渡航歴のない人が、新型コロナウイルスのオミクロン株に感染していることが分かりました。詳しい状況が明らかになってきたので、最新情報をお伝えします。
■サッカー観戦した20代男性もオミクロン株と判明
まずは16日、東京都の20代の女性がオミクロン株に感染していましたが、この女性の濃厚接触者とされていた東京都の20代男性もオミクロン株に感染していたことが分かりました。
2人の行動を整理します。まず、女性は今月8日にアメリカのテキサス州から帰国しました。入国時は陰性で、空港からハイヤーで自宅に戻り、その後、自宅待機を続けていました。そして、9日に発熱、10日に都内の医療機関を受診し、13日に新型コロナ陽性と判明。16日、オミクロン株だったことが分かりました。
一方、20代男性が濃厚接触者とされた理由は、8日と9日に女性の自宅を訪問し、帰国したばかりの女性と接触していたためです。
女性が発熱したのが男性と会っている時か、その後なのかは分かっていません。男性は9日、10日に職場に出勤。10日にはせきや発熱がありましたが、12日にサッカー観戦、13日には出勤しています。この日に、保健所が濃厚接触者と特定し、自宅待機となり、15日に新型コロナ陽性、17日にオミクロン株であったことが判明しました。
東京都によりますと、男性の10日の発熱は37.5度で、解熱剤を服用したということです。
サッカー観戦したのは、神奈川県川崎市の「等々力陸上競技場」で行われたサッカー天皇杯準決勝です。この試合は観客数の上限なしで行われたため、観客数は1万7595人でした。
川崎市は、男性の席の近くのおよそ80人に検査を促しています。この人たちは男性の濃厚接触者とはされませんでしたが、一緒にサッカーを観戦した家族3人と、男性が出勤してた会社の同僚7人が濃厚接触者と特定されました。
自宅待機の人の行動制限は、あくまでお願いベースです。厚労省によりますと、海外から帰国して自宅待機に入る人には、健康観察のフォローアップをしつつ「不要不急の外出は控えること」や「第三者に会うのは避けてください」とお願いしているそうです。
知人と面会することがただちに違反となる訳ではありませんが、その面会が、不要不急かどうかということがポイントになります。
■今週末が海外からの入国ピークに
年末年始に向けて、この18日、19日が海外からの入国ピークとなります。2日間で1万4500人ほどの入国が見込まれていて、早めに帰国して待機期間を終えて、正月を迎えたい人が多いためとみられます。この内、施設待機となる指定国からの入国者は、4割ほどになるとみられ、厚労省は、待機施設を1万4000室に増やし対応するとしています。
こうした中、16日、小池都知事はすべての入国者が、オミクロン株ではないことを確認できるまで、検疫施設などで待機させるよう国に緊急要望を出しました。ただ、厚労省は「全入国者の一律の施設待機は私権制限にあたりできない。施設も足りず難しい」としています。
そして、もう1人、海外渡航歴のない人のオミクロン株感染も確認されました。関西空港検疫所の30代の女性職員で、検疫所が管理する新型コロナ陽性者の宿泊療養施設に勤務しています。
厚労省によりますと、女性職員は8日に下痢のような症状がありましたが、重くない症状で長引かなかったため、8日、9日は勤務、10日、11日は休日で自宅で過ごしていました。12日は症状はなく勤務しましたが、勤務中に全身の倦怠感、吐き気、せきの症状が出たため、13日に医療機関を受診して、コロナ陽性が確認され、16日にオミクロン株の感染が分かりました。
勤務先の施設では、これまでに3人、オミクロン株の感染者が出ていて、医療施設に移っています。女性の勤務内容は、感染者と直接接する業務ではなかったとのことですが、厚労省は施設内での感染が強く疑われるということです。この女性の濃厚接触者は同じ職場の6人で、16日時点で全員陰性で、症状はないということです。
■オミクロン株の「実効再生産数」は?
オミクロン株の感染力について、専門家からは「これまでに類を見ない速度で広がっている」と強い危機感が示されています。
京都大学の西浦博教授らがデンマークのデータをもとに行った分析結果によると、1人の感染者が何人に感染させるかを示す「実効再生産数」は、オミクロン株はデルタ株のおよそ4倍にのぼると推定しています。
この背景には、オミクロン株の感染力の強さに加えて「免疫回避」、つまり、過去の感染やワクチンで作られた免疫をくぐり抜けて感染する可能性が指摘されています。
また、感染状況が急速に悪化しているイギリスについては、16日の新規感染者が8万8376人と2日連続で過去最多を更新しました。前日からわずか1日で、1万人ほど増えました。
保健当局は実効再生産数が3~5に達しているとの分析結果を示しています。つまり、1人の感染者が平均3人~5人にうつしていることになります。しかも、先週の時点で実効再生産数は1.1~1.2だったので、1週間で数倍に跳ね上がっています。また、新規入院患者数も増えていて、イギリス政府は警戒を強めています。
厚労省の専門家会議の脇田座長は、「(オミクロン感染者と)同一空間を共有した人は、マスクの有無や接触時間にかかわらず、幅広い検査を行うことが推奨される」、「倦怠感や風邪の症状がある場合は積極的に検査をして、年末の帰省や旅行も軽い症状がある場合は控えてほしい」と注意を呼びかけています。
(12月17日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)