一度も会うことなく…SNS型ロマンス詐欺か “悪質手口”27歳の女逮捕
「SNS型ロマンス詐欺」とよばれる手法で一度も会うことなく男性から金をだまし取っていたとして27歳の女が逮捕されました。約90人があわせて1億円以上の被害を受けたとみられています。どのような手口だったのでしょうか。
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うつむきながら警察車両に乗り込む女。
井田容疑者(27)
「ウソを言って相手を信用させ、インターネットカジノで使ったりホスト遊びに使った」
詐欺と窃盗の疑いで逮捕された井田しずく容疑者(27)。警視庁によると去年10月、一緒に逮捕された28歳の女と共謀し、マッチングアプリで知り合った男性(当時33歳)から現金34万6000円をだまし取りATMで引き出し、盗んだ疑いがもたれています。
SNSを利用したロマンス詐欺とみられる今回の事件。井田容疑者と男性は一度も直接会ったことはなく…
井田容疑者
「なんでもする」
男性にこうしたメッセージを送っていたといいます。
90人ほどの男性から約1億300万円をだまし取っていたとみられる井田容疑者。その手口はどのようなものだったのでしょうか。
井田容疑者は少なくとも4つのアプリを使いターゲットの男性に接触。「カカオトーク」「ライン」などのSNSアプリに誘導していたといいます。
すると、言葉巧みにウソを重ねていきます。
井田容疑者は無職ですが、SNS上ではキャバクラ嬢で「ゆう」と名乗っていたといい、男性に送ったメッセージは…
井田容疑者が男性に送っていたメッセージ(一部抜粋)
「死にたい。仕事でキャバ(クラ)なんだけど、給料もらってお金をロッカーに入れてたの。そんでね、子どもを系列の託児所に預けてるからその代金を店長に払わなきゃいけなくて、渡そうと思ったら、ロッカー見たら全部無くなってて」
ロッカーに入れていた金が盗まれたとウソ。
井田容疑者が男性に送っていたメッセージ(一部抜粋)
「先月まで親が残した借金の返済をしてたから貯金とかできなかったの。だから本当に(お金が)なくて」
さらに、親の借金があるとウソ。
井田容疑者が男性に送っていたメッセージ(一部抜粋)
「もう本当にやっていけない。支払い今日まで待ってもらったんだけど、ずっと探してるんだけどアテもなくて。もう詰んだ、死にたい」
“子どもを育てていてお金に困っている”ことをアピールしていたという井田容疑者。言葉を信じた男性は現金を2度、振り込んだといいます。
実際に子どもはいたのか、「news zero」は7日に井田容疑者の親族に聞くことができました。
──(井田容疑者の)お子さんは実家?
井田容疑者の親族
「うちで見てる」
──最後に見たのはいつ?
井田容疑者の親族
「6~7年前」
──どういう仕事してる?
井田容疑者の親族
「音信不通」
親族によると、井田容疑者は自身の子どもを実家に預けたまま連絡が取れない状況だといいます。
井田容疑者の親族
「残念だね、残念だよ、悪いことやったんだからな…申し訳ない」
被害にあった理由について男性は…
被害にあった男性(当時33)
「女性が大変困った状況にあり、貸した金は必ず返ってくると思った」
井田容疑者と直接会ったことがなく、SNSのメッセージと電話でのやりとりだけで信じてしまったといいます。
専門家は、会っていないことが逆に相手を理想化してしまい、詐欺に引っかかる危険性を高めると指摘します。
SNSの詐欺に詳しい 成蹊大学・高橋暁子客員教授
「直接会ったら、例えば言動の端々から、本当は自分のことを好いていないとか、様々なアラなどが見えて真実を見抜ける可能性も高くなる」
また、顔を合わす前にSNSアプリに移ることについて…
SNSの詐欺に詳しい 成蹊大学・高橋暁子客員教授
「多くのきちんと運営されているマッチングアプリでは 通報(制度)なども受け付けていて、サポートとかブロックとか監視とか、きちんと対処されている。相手が信頼できる、自分をだまそうとしているわけではないと確信できるまではマッチングアプリの中でやりとりするのがおすすめ」
一方…
渡辺真衣被告(26)(YouTubeより)
「世界の平和を守る人妻JK魔法少女りりちゃん!」
同じく恋愛感情を利用した詐欺の罪で有罪判決を受けた「頂き女子」こと渡辺真衣被告(26)。その渡辺被告が“貢いだホスト”が黒のマスク姿で裁判所に姿を見せました。
歌舞伎町の元ホスト、「狼谷歩」こと田中裕志被告(27)。起訴状などによると、渡辺被告(26)が男性からだまし取った金と知りながら、ホストクラブの飲食代として現金3850万円を受け取った罪などに問われています。
田中裕志被告(27)(YouTubeより)
「家にある現金集めてみたわ。お金って持ってみたらわかるけど紙切れだよこれ。これで本当に欲しいものなんて手に入らないよね」
注目の判決は…
裁判長
「被告人を懲役3年および、罰金80万円に処する」
懲役3年、執行猶予5年、罰金80万円、追徴金1079万円の判決を言い渡しました。
量刑の理由については…
裁判長(判決要旨一部抜粋)
「渡辺被告の行為が詐欺と非難されていたことを知りながらホストクラブでの立場向上のため、犯罪収益の受け取りを繰り返し、約6割を報酬として得ていた」
動機が身勝手かつ利欲的だと指摘しました。
一方で…
裁判長
「詐欺の被害者に対し1800万円を支払っている」
反省の態度などを示していることなどから執行猶予付きの判決となりました。
(11月7日放送『news zero』より)