「若い子だますのは簡単」闇バイト強盗、貧困背景か…防ぐには
およそ2週間、新たな発生はなかった状況から一転、また関東で強盗が相次いでいます。これまでに逮捕された実行役などの多くが「金に困ってやった」「生活が困窮していた」などと供述していることがわかりました。
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一連の闇バイトによる強盗事件などに関わった若者の支援にもあたっているというNPO法人「陽和」の理事長の渋谷幸靖さん。金に困り、闇バイトに手を出すケースは少なくないと話しています。
NPO法人「陽和」 渋谷幸靖理事長
「実際に加害者となった若者の支援をしていますが、本当に10円も持っていないとか公園のトイレの水で生活していたり、私たちが考える以上に生活に困窮していて、明日も考えることができなく、夢も希望も持つことすらできない環境下にいます」
貧困が入り口になることもあるという「闇バイト」。
今年6月、新潟市内の買い取り専門店に包丁を持って押し入る強盗未遂事件を起こしたのは20歳の若者。その際、男は指示役の指示で、全身黒ずくめの“悪の戦闘員”ショッカーの衣装を着ていました。動機はやはり金だったといいます。
20歳の男
「(聞いていた報酬は)5万円。今考えると割に合わない」
裁判で、検察側は生活費や借金返済のため闇バイトに応募したと指摘。その後、指示役から「『殺すぞ』と(指示役から脅された)。『死ぬか、やるか』」と脅されていたといいます。
男には「今回に限り」として執行猶与付きの有罪判決が下されました。
厚生労働省の調べでは「6.5人に1人」が相対的に貧困だという日本。
NPO法人「陽和」 渋谷幸靖理事長
「1回やれば5万円、3万円もらえると金額に目を向けてしまって、金を稼ぎたいという動機で一歩踏み出してしまう」
一方で渋谷さんは、生活苦だけでなくストレスなどのはけ口としてギャンブルなどで浪費するパターンも見られると指摘します。
NPO法人「陽和」 渋谷幸靖理事長
「18歳になると、借金も自分の中でできてしまいます。後払い・ゲーム課金もボタン1つで買えてしまう」
「これ(闇バイト)をやったらどうなるんだろうと、考えることが苦手な子が踏み入ってしまう。どうみても怪しいだろうと思う仕事も、その手前の金額で判断してしまう。楽して金を稼ぐという価値観を少しずつ変えていく」
実は、渋谷さん自身もかつて、詐欺などの“指示役”として逮捕・起訴され、罪を償った1人だといいます。
NPO法人「陽和」 渋谷幸靖理事長
「若い子たちをだますことは簡単。ちょっと威圧するとか、マイナンバー・免許証押さえてしまえば実家が特定できるので、家を燃やすぞとか、お母さんに危害を加えるぞ、お父さんの会社に連絡するぞ。若者たちはやめられなくなって、抜け出せなくなってしまう」「(報酬が)高額な仕事怪しいなと思うこと。ホワイトに近いという話もすべて疑って、(犯罪の)プロにだまされないようにしていただきたい」
石破首相は先月、闇バイトについて動画でメッセージを送りました。
石破首相
「『簡単な仕事』『誰でもできます』『リスクありません』『儲かります』そんな仕事は世の中にありません。もし乗っちゃったら、必ず警察に相談してください」
SNS上の闇バイト広告に応じないよう呼びかける広報を強化する考えを示しました。
渋谷さんは、その手前の段階で闇バイトの情報が拡散されないようにすることも大事だと指摘します。
NPO法人「陽和」 渋谷幸靖理事長
「『見ないでくれ』と言うよりかは、情報が拡散される前にいかにブロックであったりとか、水道でいうところの蛇口を閉めること(が必要)と私は感じます」
(11月4日放送『news zero』より)