“性被害”訴え カンボジア国籍の技能実習生が男性経営者を提訴 妊娠し中絶も…男性は「事実と全く違う」
栃木県のイチゴ農園で技能実習生として働いていたカンボジア国籍の女性が、男性経営者から繰り返し性的暴行を受けた上、妊娠し中絶させられたなどとして提訴しました。一方、経営者の男性は「事実と全く違う」と反論しています。
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原告側の弁護団
「非常に脆弱(ぜいじゃく)な立場を利用して、性加害行為が行われてきた」
16日、訴えがあったのは、技能実習生が受けたという“性被害”についてです。
カンボジア国籍の20代の女性3人が、実習先の栃木県にあるイチゴ農園の男性経営者から繰り返し性被害を受けたとして、男性に対し、あわせて約9200万円の損害賠償などを求めて、東京地裁に提訴しました。
訴状などによると、女性3人は技能実習生として来日。それぞれカンボジアで貧しい生活を送っていて、家族を経済的に支えるために多額の借金を負って来日し、2022年からイチゴ農園で働いていました。
来日したのも、就業経験もはじめて。日本語での日常会話を理解するのは難しい状況で、男性経営者は原告らの弱い立場を利用して性加害を繰り返したほか、長時間労働をさせ残業代を支払わないなど、支配ともいえるような行動をとってきたと訴えています。
さらに、このうちの1人Aさんは、妊娠させられた上、十分な説明もなく「人工妊娠中絶」していたというのです。一体、何が…。
働き始めてから約5か月後の2022年12月。男性経営者とともに車に乗り、打ち合わせに同行したAさん。終了後、知らない建物の一室に連れて行かれ性的暴行を受けたということです。何度も拒絶しましたが、男性経営者に「ダメというならカンボジアに帰国させる」と脅されたといいます。
Aさんは従うしかなく、何度も性的暴行を受けた結果、翌月、妊娠が判明。すると、男性経営者は「クリニックに提出する必要な書類だ」として署名を求め、Aさんは言われるがままに自分の名前を記入。実はその書類は「人工妊娠中絶に対する同意書」で、中絶したことに気がついたのは、手術が終わった後だといいます。
男性経営者は「誰にも話すな、手錠をかけられるから」と、Aさんに手錠のしぐさを見せ、こう話したといいます。
男性経営者は、別の技能実習生2人にも胸を触るなどの性加害を行ったということです。
3人は去年4月、岐阜にある労働組合にSNSで助けを求め、翌日、保護されました。担当者は…
技能実習生3人を保護した 岐阜一般労働組合・北島あづさ氏
「ただごとではないと思いました。3人はあまり荷物を持たない状態で、私たちの迎えの車に乗りました。(助けを求めるのは)勇気のいる行動だったと思います」
一方、男性経営者は、日本テレビの取材に対し、「Aさんから関係を迫ってきた。そういう行為は数回あったが、脅したりなどは一切していない。中絶については本人が望んでいた。医者が本人に説明して、本人も理解した上で中絶をしていた。(訴えについて)事実と全く違うから驚いた」などと話し、裁判で争う姿勢を示しています。
(12月16日放送『news zero』より)