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【解説】味覚の秋も注意「食中毒」 公園に“最強”の毒キノコ…うっかり触ると危険 “シイタケそっくり”のモノも

2022年10月24日 21:08
【解説】味覚の秋も注意「食中毒」 公園に“最強”の毒キノコ…うっかり触ると危険 “シイタケそっくり”のモノも

「食欲の秋」ということで、いろいろな食材が旬を迎え、おいしい季節になってきました。夏のイメージがある食中毒ですが、実は秋も注意が必要です。

●毒キノコに要注意
●公園に“最強”の毒キノコ
●スーパーでも販売

以上のポイントを中心に詳しく解説します。

■毒キノコ 食中毒が最も多い「秋」

福島県に住む30代の男性がキノコ狩りへ行き、16日に自分で採ってきたキノコをスープにして食べたところ、下痢やおう吐の症状を訴え、病院に運ばれました。男性は「採ってきたキノコを『ホンシメジ』だと思って、食べた」ということですが、形が似ている毒キノコ「クサウラベニタケ」だった可能性があるとみられています。

秋も深まって、キノコがおいしい季節になってきますが、毎年この時期は、毒キノコによる食中毒が最も多い時期です。厚生労働省によると、2012年から21年の10年間、食中毒で、820人の患者が報告されています。その中で最も多い原因が「ツキヨタケ」で、半数以上の462人を占めています。2番目は「クサウラベニタケ」で、138人でした。

山形県衛生研究所によると、ツキヨタケは枯れ木や倒木などに生えています。大きさはまちまちで、小さいものから大きいものまであります。形は、半円形や扇形などをしているということです。見た目はおいしそうですが、食べると30分から1時間程度で、おう吐、下痢、腹痛などの症状が出るということです。

食用のヒラタケやシイタケによく似ているということと、近くに生えていることもあり、間違えやすいため注意が必要です。

ツキヨタケは生えている環境によって色が違うという問題があって、かさの色で見分けることも難しいです。ツキヨタケの最大の特徴は、名前の通り、「夜に光る」という点です。


きのこアドバイザー・廣瀬晴彦さんが撮影した写真では光っているのが分かりますが、特殊な撮影方法で捉えたため、私たちが肉眼で光っているのを確認するのは難しそうだということです。古いキノコだと、ツキヨタケであっても光らない場合もあるため、確実に見分ける方法とは言い切れないということです。

■毒キノコの“3原則”

「食用のキノコだ」と判断できない場合や、少しでも迷ったりした場合は、「とらない」「食べない」「人にあげない」という“3原則”が大切です。厚生労働省はさらに「売らない」という原則も入れています。

もしかしたら、「虫が食べているキノコは大丈夫じゃないか」、「塩漬けにすれば、大丈夫だ」という話を聞いたことがある人もいるかもしれませんが、それらは全部迷信で、間違いです。とにかく、迷ったら、「とらない」、「食べない」、「あげない」、「売らない」を徹底して、もし、食べてしまって、体調を崩したら、すぐに病院に行きましょう。

その際、「食べたキノコの残りがあれば、治療の参考になる場合もあるため、持って行くといい」と呼びかけている自治体もあります。

■触るだけで危険「最強の毒キノコ」とは?

そして、食べるのはもちろんですが、触るだけで危険なキノコもあります。赤色で炎のような形が特徴のカエンタケです。触れただけでも皮膚がただれてしまい、食べてしまうと、少量でも死に至る危険もあるくらい毒性が強く、「最強の毒キノコ」とも言われています。

今年9月、登山客が山梨県身延町の湖畔の森林で発生しているのを発見したということです。身延町で確認されたのは、初めてだったそうです。

今、山梨県では、カエンタケの広がりを非常に警戒しています。山梨県森林総合研究所の戸沢一宏・特別研究員によると、ブナなどの広葉樹が枯れる「ナラ枯れ」という現象があり、カエンタケはその近くに発生する恐れがあります。

では、ナラ枯れがどこで、どのように起きるのでしょうか。害虫の「カシノナガキクイムシ」が病原菌を媒介して起きるということです。つまり、ナラ枯れの発生や、カシノナガキクイムシの存在が確認された場合、今度はカエンタケの発生に要注意とも言えます。

実際、ナラ枯れは山梨県内の南部から北に向けて、広がりつつあるそうです。今や県の北部でもこの虫が発見されているということで、心配な状況になっています。

このカエンタケ、身近なところでは、7月に千葉・木更津市の太田山公園で確認されたほか、千葉・茂原市の茂原公園でも7~8月にかけ、計4回確認されました。

もちろん、すぐに取り除いていますが、触るだけでもひどくただれますし、少量でも食べると死に至るおそれもあります。とにかく危険なため、茂原公園では今でも週2回、カエンタケが生えていないか、確認に行っているということです。

■キノコ以外も スーパーで購入…実は有毒

今、キノコ以外でも、食中毒が起きています。大分県では毒性のある「クワズイモ」による食中毒が発生しました。茎の部分を食べることができる「ハスイモ」と、毒性のある「クワズイモ」は、とてもよく似ています。

大分県では、9月29日から10月3日にかけて、県内のスーパーなど3店舗で有毒なクワズイモがハスイモとして売られ、買って食べた13人が口の中などに痛みを訴える食中毒が発生しました。いずれも臼杵市の農家が自生していたものを収穫し、誤って出荷してしまったということが原因だそうです。

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今、特に自然豊かな地域での観光や、外遊びをする機会も増えていると言われています。お出かけ先でも、近所でも、くれぐれも危うきには近寄らず、事故のない秋を満喫したいと思います。

(2022年10月24日午後4時半ごろ放送 news every.「知りたいッ!」より)